家飲みが定着した今、お酒の量が増えたと思う人が気をつけることは?
アルコール依存とアルコール依存症の違いは?
アルコールは強力な依存性を持っていて、大麻よりも強力だといわれています。「自分は禁酒できる」と自信を持っていても、注意が必要です。
「アルコール依存が飲酒コントロール障害であることは、世間ではほとんど知られていません。『一年間、禁酒をしたが、お酒がなくても平気だった。だから自分はアルコール依存のわけがない』と主張する人が多いのですが、『アルコール依存=毎日飲んでいる人』ではありません。アルコール依存とは、『次第にお酒に対するコントロールが効きにくくなる人』のことです」
では、「アルコール依存症」というのは、どのような状態になったことなのでしょうか?
「『どこまでがアルコール依存で、どこからがアルコール依存症?』という疑問を持つかもしれませんが、結論から言うと、『依存』と『依存症』の境界はとても不明確です。アルコールの薬理作用により、脳内の『飲酒ブレーキ』が少しずつ壊れていくわけですが、『少し効きが悪いブレーキ』から、『ほとんど効かないブレーキ』まで、壊れ具合は連続的につながっています。
こうした背景を踏まえて、最近のアメリカの精神医学などでは、 「アルコール依存症」という名称をやめて、軽症から重症までを「アルコール使用障害」でひとくくりにしています。
アメリカの「アルコール使用障害」診断基準は?
倉持先生がわかりやすく翻訳したアメリカの診断基準があります。11項目のうち、当てはまるものがいくつあるか、チェックしてみましょう。
①最初に予定していたよりも、しばしば多量に飲んでしまう、または長い時間飲んでしまう
②お酒を減らしたい、あるいはやめたいと常々思っている(またはそう思っていても、なかなかお酒を減らしたり、やめたりすることができない)
③お酒を手に入れるための時間、飲んでいる時間、酔いから醒めるまでの時間などが長くなってきている
④お酒を飲みたいという強い欲求を感じることがある
⑤お酒を繰り返し飲むことにより、職場や家庭などで果たすべき役割が果たせなくなってきている
⑥人間関係などにおいて、お酒による問題が出てきているにもかかわらず、お酒を飲み続けている
⑦お酒を飲むために、果たすべき仕事や好きだった趣味などを次第にしなくなってきている
⑧酒気帯び運転などの危険な飲み方をしているにもかかわらず、お酒を飲むことを繰り返している
⑨お酒のために、肝機能障害などの内科的問題やうつ病などの精神的問題が起きているこ とに薄々気がついているにもかかわらず、お酒を飲み続けている
⑩飲み始めたころよりもお酒に強くなっている
⑪お酒を飲まないと眠りにくいなどの離脱症状が出現する、あるいは離脱症状が出現しな いようにお酒を飲み続けている
[診断]
・2~3項目……軽度のアルコール使用障害
・4~5項目……中等度のアルコール使用障害
・6項目以上……重度のアルコール使用障害
「『2項目以上の該当でアルコール使用障害と診断されるなら、お酒を飲む人のほとんどが 当てはまるのでは』と思いましたか? その通りです 。アルコール依存症を含むアルコー ル使用障害は、実は多くの人が簡単に当てはまるポピュラーな病気なのです」
多くの人が当てはまる病気ならば、ほうっておくことはできませんね。しかし、楽しみをやめることはできないと思っている人も多いでしょう。
倉持先生のクリニックでは「減酒外来」を行い、お酒を減らしたい人のサポートをしています。病院に頼らず、自力で進める方法もありますので、試してみてはいかがでしょうか。
※この記事は『今日から減酒! お酒を減らすと人生がみえてくる』倉持穣著(主婦の友社刊)の内容を WEB 掲載の ため再編集しています。
今日から減酒! お酒を減らすと人生がみえてくる
自宅で飲むことで酒量が増えてアルコール依存症目前の人が急増中。減酒により健康になる、やせる、美肌になる! といいことばかり。
「在宅ワークで酒量が増えた」「休肝日がない」「隠れて飲酒」。その飲み方、危険です! アルコール依存症になる前のお酒の減らし方を専門医が伝授、必ずできる14メソッド。減酒により体調がよくなる、肌ツヤがよくなる、睡眠の質が上がる、がんのリスクを下げるなど、よいこと満載。「純アルコール量の計算式を知る」「減酒日記をつける」「お酒に近づかないマイルールを作る」「行動スイッチ法を使う」「お酒を必要としない新しい生活を作る」など、今日からできることがたくさん。いま話題の減酒薬についても紹介。迷う時間はありません。今日から減酒を始めましょう。