50代からの年金の増やし方【中編】プロが伝授する「繰り下げ受給」の方法とは?
パートの働き方、年金の受取り時期で、もらえる年金額はこんなに変わる!
「年金5万円の人が今のままパートで働いて、65歳で年金を受け取った場合」と、
「55歳から65歳まで厚生年金に入って働き、年金受給を70歳まで繰り下げた場合」を比較します。
当初の年金額は月5万円(年間60万円)、
パート収入は8万8000円で試算しました。
【今のまま、夫の扶養控除内で65歳まで働いた場合】
65歳からの年金額は月5万円(年間60万円)
【55歳から65歳まで厚生年金に入って、パート収入8万8000円が10年間あった場合】
年金額が25万2900円アップ!
さらに老齢基礎年金を70歳まで繰り下げて、42%アップ。
年金額約121万円に増額!
年金の繰り上げ受給は、おすすめできません!
年金は、希望すれば65歳になる前に繰り上げで受け取ることもできます(年金の繰り上げ受給)。ただし、繰り上げすると、65歳で受け取った場合より、年金が減額されます。減額率は、1カ月早めるごとに0.4%(昭和37年以前生まれの人は0.5%)。
たとえば、5年繰り上げて60歳から受けとると、年金額は65歳から受けとった場合より、24%(昭和37年以前生まれの人は30%)減額されます。
注意しなければならないのは、減額された年金額は生涯変わらないこと。また、老齢厚生年金を繰り上げると、老齢基礎年金もセットで繰り上げになります。ほかにも、65歳前に障害年金や遺族年金が発生すると、老齢厚生年金が受け取れないこともあります。
長寿の時代、繰り上げ受給で年金額が減ると、生涯の年金総額は大きく減少します。一度繰り下げ請求をすると変更はできないので、年金受給前に貯蓄が少ないのに働けなくなったなどよほどの事情がない限り、基本的におすすめできません。検討する場合は、実際にどれくらい減額になるのか、ねんきんネットや年金事務所でしっかり確認してください。
プロフィール
井戸美枝
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、国民年金基金連合会理事。生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題が専門。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、雑誌や新聞に連載を持つ。『親の終活 夫婦の老活 インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!増補改訂版』(日経BP)など著書多数。
ホームページ:http://mie-ido.com
Twitter:@mieido
※この記事は2024年8月15日に文章構成を変更しました。
★あわせて読みたい★