【大奥8話】吉宗(冨永愛)チームの有能感に痺れる。これは吉宗なりの告白だったろう
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田幸和歌子
江戸時代の男女逆転の世界が描かれる、NHKドラマ10「大奥」。現在、NHKBS4KとNHKBSプレミアムで再放送中です。奇想天外なエンターテインメントに、毎週ひきこまれていく人も多いことでしょう。初放送時、数多くのドラマレビューを執筆するライター田幸和歌子さんに、NHK版「大奥」について語っていただいた記事をお届けします。
※ネタバレにご注意ください。
よしながふみ原作漫画×森下佳子脚本により、男女逆転劇の世界を描くNHKドラマ『大奥』の第8話が放送された。
第1話につながる形で、再び徳川吉宗(冨永愛)の時代。
村瀬(石橋蓮司)の死を久通(貫地谷しほり)から聞いた吉宗は、村瀬が大奥のなりたちからすべてを記していた日記「没日録」の続きを読もうとする。
しかし、綱吉の死以降、ここ数年分の記録が紛失していたことから、吉宗は大奥の誰かに都合の悪い内容が記されていたのではないかと怪しむ。そこで、久通はお庭番に大奥総取締役・藤波(片岡愛之助)の監視をさせることに。
一方、幕府の財政再建に注力する吉宗に、久通は大岡(MEGUMI)を引き合わせる。米の値段が安く、物の値段が上がっている現状を嘆く吉宗に大岡は、幕府がいったん米を買い上げ、値段が上がれば売りに出し、価格をコントロールすることを提案する。
それを聞いた瞬間、目配せする久通と、ニヤリとした吉宗は阿吽の呼吸を見せ、吉宗は大岡を町奉行に抜擢。能力さえあれば地位や経験不問で即採用する吉宗は、有能なビジネスマンのようである。
また、吉宗は赤面疱瘡をなくさないと日本が滅びるという春日局の予言をもとに、赤面疱瘡を治す薬を探すことを決める。そこで呼び出されたのが、御内証の方として死んだことになっていて、今は商人・進吉として暮らす水野(中島裕翔)だ。
大奥には女しか入れないため、女装してやって来た水野は吉宗に爆笑され、薬探しを命じられ、しぶしぶ各地をまわることに。
一方、吉宗は次々に改革を進める。まずは自らが手本となって質素倹約に努め、目安箱を設けて民の声を聞く。こうした裏表のなさで、民の人気者になる吉宗。
しかし、懐妊し、お産の最中ですら米の価格を気にするなど、頭の中は政のことばかり。世継ぎを作ることにも積極的で、性にも奔放だが、恋愛や子育てに興味がない吉宗のある種の欠落ぶりが描かれる一方で、為政者としての有能さは際立っていく。
そんな中、吉宗のもとに医師の小川笙船(片桐はいり)から書状が届く。そこには市中の困窮ぶりが綴られていたため、お忍びで市中を歩くと、笙船が病人を無償で診ている場面に出くわす。
笙船は、吉宗が民を飢えさせ、死なせている現状について失望と怒りをぶちまけた。まさかそれを吉宗本人が目の前で聞いているとも知らずに。
しかし、吉宗はその言葉を受け止め、名乗りをあげ、貧しい者たちに薬を与える場所を作ることを決める。そこで、薬草が生えている小石川を拠点に、小石川養生所が作られることに。