【猫の実話】母猫とはぐれた?ひもじさに打ち震えて、ぴったりくっついて離れない2匹の子猫が、幸せをつかむまで
茶色の子はオスだったので「太郎」、三毛の子はメスだったので「花子」にしました。
太郎はすぐにごはんをよく食べるようになり、家の中をウロウロするようになりました。 花子は弱っていた分、なかなかごはんを食べなかったんで、すごく心配しました。でも太郎がごはんを食べているのを見て自分も食べるようになり、だんだん元気になりました。
太郎は遊び好きで、私がおもちゃを見せると、飛びかかってずっと遊んでいました。
でも、花子がミャーミャーと鳴いた途端、太郎は遊ぶのをやめて花子のそばに戻っていきます。
「こんなに面倒見のいいお兄ちゃん、人間でもなかなかいないよね」
母はそんなふうに言っていました。
父が心配していたコロですが、猫たちとの暮らしに最初は落ち着かず、しきりに様子を 見に来ていました。でも、そのうちなんと、花子がコロになついたんです。コロが横になっていると花子がピョコピョコとやってきて、腕の中で寝るようになりました。それを見た太郎も寄ってきて、3匹が仲良く寄り添って寝るんです。
初めて花子が腕の中に来たとき、コロは「え?」みたいな顔で私の顔を見て困った様子でしたが、花子をどかそうとはしませんでした。コロのやさしい面を知ったのも太郎と花子のおかげです。
ただ最近では、コロがますます年をとったのでゆっくりできるようにと、母が2匹と寝る場所を分けました。花子と太郎は最初、寝るときにコロを探していて、私もいっしょに寝ている3匹が見られないのは残念ですが、コロに無理はさせられません。
こないだ父が、やっぱり太郎と花子も飼ってよかったなって言ったのがうれしかったで す。コロ一筋だった父も、今では2匹をすごくかわいがっています。
母は、父がそう言うようになるだろうと予想していたそうです。そして、2匹まとめて飼うと決めたことを、「さすが私」と、自分で自分をほめていました。
あのときもし、2匹がバラバラになっていたら、今ごろお互いのことを忘れていたのでしょうか? それともずっと覚えていて、会いたいと思っていたのでしょうか?
どっちでもせつない気がします。
2匹は今はもう4歳になり、ずっとくっついていることもなくなりました。でも、びっくりしたことや怖いことがあると別です。
去年の夏、エアコンが壊れたので修理の人が来ました。
よその人が苦手な太郎と花子は、ほかの部屋に逃げていたんです。私が様子を見に行く と、2匹でベッドにもぐり込んでいました。太郎が花子をかばうような体勢だったので、 やっぱり太郎は花子のお兄ちゃんなんだな、と感心したのを覚えています。
そんなに怖がっていたのに、修理の人が帰ったとたん、何事もなかったような顔ですま して戻ってくるのがおもしろくて、笑ってしまいました。
コロ、太郎と花子。
犬と猫はどっちもかわいいけれど、まったく違う動物です。それに、同じ猫でも太郎と花子では性格がぜんぜん違います。人間と同じだな、と思いました。
もっともっと犬や猫のことが知りたいので、将来は動物関係の仕事に就けるといいなと思っています。
3匹は私の世界を広げてくれた、大事な家族です。
※この記事は『猫がいてくれるから』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。
※2023年3月16日に配信した記事を再編集しています。
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