私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

永吉(松平健)が神戸行きを激怒する理由にちょっとかわいさを感じた【おむすび】

公開日

更新日

田幸和歌子

永吉(松平健)が神戸行きを激怒する理由にちょっとかわいさを感じた【おむすび】

「おむすび」第35回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

【前の話】
博多の街を闊歩する 仲里依紗版の歩が貫禄ありすぎる 第6週【おむすび】

平成胸キュンあるあるシーンにつながるわけだが

橋本環奈主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『おむすび』の第7週「おむすび、恋をする」が放送された。

今週は、ドラマや映画作品についてよく言われる「展開の早さ」という意味について考える部分もあった週だった。

今週よりも前に、そもそものところ、ヒロインの家族・米田家の面々それぞれの人生観に大きな影響を与えたであろう阪神淡路大震災が発生し被災する場面の登場も、放送前の想像よりも早かったかもしれない。

平成を駆け抜けたある家族を描くこのドラマでは、阪神淡路大震災について描かれることは放送前より明らかにされていた。来年1月で発生から30年という大きな節目での放送なだけに、年明けにドラマの大きな山場として描かれるのかという予想も放送前にはあったが、第5週で早々にその場面は登場した(とはいえその描かれ方はしっかりとしたものだったが)。

長女の歩(仲里依紗)と父・聖人(北村有起哉)、ヒロイン結との確執、神戸に暮らしていた米田家が聖人の故郷である福岡・糸島へ転居した理由、歩がギャル化した理由なども5週から6週にかけて明かされ、家族が震災とそれによる心の傷跡に向き合うことでみんなスッキリ、結もあらためて「ギャルやりたい、書道もやりたい」と、どこかあてつけのように封印していたことを再開宣言、どこか「第1・完」のような空気もあり、心機一転、第2章へ?という雰囲気もありつつの第7週への突入だった。

サブタイトルにあるように、今週はヒロイン結の恋愛ターンを描く週でもあった。週前半は、他校の野球部の選手である翔也(佐野勇斗)との、ある種爽やかな恋愛青春ドラマのようなシーンが描かれた。

ガラケーでメールを交換するような仲となり、メールがきていないか「センター問い合わせ」をするような、令和の若者が知らない胸キュン描写など、「なんでもないこと」が丁寧に描かれており、どこか記号的でもあった「平成ギャル文化」とは違う、等身大の「なんでもないこと」は、もともとこのドラマが目指した平凡な日常が描き出されているような気がし、大きな出来事がなくとも「このぐらいでいい」という印象も受けた。

「おむすび」第34回より(C)NHK

結は過労で倒れたときに助けてくれた翔也へのお礼として、スタミナが欲しいという翔也のために手作り弁当を渡すことにする。しかしそれが、栃木から翔也が越境入学するほどの甲子園常連レベルの名門野球部の選手としてはNGであったことがわかる。野球部では栄養管理をきっちり行なった食事をとらせているため、結の弁当が悪影響を与えているというのだ。

この弁当づくりの経験が、この先の結の人生に大きな影響を与えるわけであるが、野球部は恋愛禁止、携帯でのメールを中心とした関係となり、結は自分なりに勉強した栄養についての情報、そして応援する気持ちを翔也に送るようになる。携帯メールで紡ぎ育てていくふたり気持ち……そして先のメールが来る来ないで一喜一憂する平成胸キュンあるあるシーンにつながるわけだ。

しかし。「2年の月日が流れました」

えっ!? と画面を二度見してしまうほどだった。いきなり結たちは高3になっていた。クラスメートたちは次々と進路を決めていくなか、「平凡な」ヒロインの結は、自分がやりたいことは何なのかわからないままラストJKの年を迎えていた。ちなみにギャルサー「ハギャレン」も代替わり、ルーリー(みりちゃむ)らも社会人となりそれぞれの道を歩き始めたことで、リサポン(田村芽実)が新たな総長となり活動を継続しているようだ。

PICK UP 編集部ピックアップ