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72歳・元ミス日本 伊藤千桃さんの小さくて自由な暮らし。「自然の中に身を置いて、目の前のことにこつこつと精を出す毎日」【2023年暮らし部門人気記事TOP5】

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ゆうゆうtime編集部

マチュアリストの2023年「暮らし部門」の人気記事をご紹介します。
※記事の初出は2023年7月。内容は取材時の状況です。
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小さくて自由な暮らしを楽しんでいる女性に、今、注目が集まっています。自身の価値観を大切にして、心地よい毎日を送っている方たちを紹介する『60代からの小さくて自由な暮らし』(主婦の友社)から、自然豊かな山の暮らしを楽しむ伊藤千桃さんの1日を2回にわたって掲載します。

profile
伊藤千桃さん
神奈川県在住。72 才。1972 年度ミス日本。17 年前から宅配レストラン「桃花源」を営み、オリジナルの野草茶も販売(https://chimomo.official.ec/)。
著書に『千桃流・暮らしの知恵』※現在は電子書籍版のみの扱い(主婦の友社)。

周囲を海と山に囲まれた神奈川県・葉山町。結婚後、東京で暮らしていた伊藤千桃さんが実家のあるこの地に戻ってきたのは、今から40年ほど前のこと。養母の介護をするために、7才の長男と0才の長女を連れて、自らも育った自然豊かな山の中の地で再び暮らし始めたわけですが、この決断が図らずも自分らしさをとり戻すことに。

「若いころは都会で暮らしてみたいなんて思ったこともありましたが、自分の暮らしには自然が欠かせませんでした。結婚してわりと早い段階でこのことに気づいたものの、夫は都会暮らしが好きな人。どうすべきかしばらく悩みましたが、子どもが大きくなったタイミングで私から離婚を切り出しました。老齢になったときに生活観の違いから互いに楽しく暮らせないのはつらいですから」

四季折々の山の表情を楽しめるリビングは、お気に入りの場所。「ここでひとりゆっくり晩酌する時間が好きです」

——昭和25年にジャカルタで日本人の母とインドネシア人の父のもとに生まれた千桃さん。2才のときに訪日し、そのまま母は行方知れずに。その後、日本人夫婦の養子として育ちました。そういった境遇からか、いつも大人の顔色をうかがう子ども時代だったと言います。

「今思えば、そのころから生きる術を自然に学ぶようになったのかもしれません。苦しいときは空を見上げたり、新芽に元気をもらったり。そんな小さな幸せがいつだって自分の活力源でした」

朝起きたら、軽くごはんを食べて身支度を整え、庭の草抜きや手入れをするのが日課。庭では約20種類のハーブや果物、野菜を育てています。

「あちらこちらで、ちょこちょこと作っているんですが、わが家の食材としてはじゅうぶんすぎるほど。食べきれない分は保存したり、化粧水にしてみたり、ゆで汁を虫除けや掃除に使ったりと余すところなく自然の恩恵にあずかっています。お金が余るほどあるなら〝買う〟という行動に直結するのだと思いますが、そうではないので工夫する癖がつきました。でも、それが暮らしの楽しさでもあるんじゃないかしら。最初はうまくできなくても、失敗するうちに必ず上達できる。人が作るものにできないものはないというのがモットーです(笑)」

主だった予定がない日は、一日中庭仕事にいそしんで、夕日で山が染まるころ、やっとひと息ということもたびたび。

「こんなふうに気兼ねなく自由に時間を使えるようになった今がいちばん幸せ。今晩はワインでも飲もうかしらね」

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