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はるな愛さん「体と心の性の不一致、それが自分の個性だと気づいたときに人生が変わりました」【山あり谷あり私の人生】

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ゆうゆう編集部

自慢の声を失ってたどり着いた「エアあやや」でブレイク

しかし、人生は本当に山あり谷あり。やっと順調に運び始めたところで、再び大きな壁にぶつかる。

「ある日起きたら、声が出なくなっていたんです。病院に行ったら、慢性のポリープができているので半年はしゃべったらいけないと。仕方なくお店も筆談でやっていたら、だんだん客足が遠のいてびっくりするぐらい売り上げが減ってしまいました。私は歌が大好きで、それまでは声が自分の宝物。それが全く出なくなったことで、人生で一番のどん底を味わいました。希望はなくなるし、生活も苦しくなるし、このときも『何とかしないと!』と追い詰められていきました」

それでも挫けなかった。追い詰められた中でふと思いついた苦肉の策。それが「エアあやや」だった。

「お店ではいつも私の大好きな松田聖子さんや、あややこと松浦亜弥さんのコンサートビデオを流していたんですけど、それを全部覚えていたんです。声が出ないから音源に合わせて口パクでものまねをしてみたら、お客さんがすごく喜んでくれて。それを見に、またお客さんがどんどん来てくれるようになったんです」

これが後にはるなさんをブレイクさせ、一躍スターダムに押し上げることになった「エアあやや」の原点。ブレイクのきっかけとなったのは、藤原紀香さんに声をかけられ、あるパーティでその芸を披露したことだった。約6分間の熱演は座を大いに盛り上げ、その場に居合わせたテレビ制作会社の人の目に留まった。そこからは、あれよあれよという間。後に人気となる、当時始まったばかりのバラエティ番組「あらびき団」への出演が決まったのだ。上京から約10年、2007年のことだった。

どんなに追い詰められても逃げない、諦めないはるなさんの覚悟としなやかさ、そして何より、人の縁を大事にしてきた日々の積み重ねが実った。

「言うよねぇ」というはるなさん独特の言い回しも接客の中から生まれた。常連客の中にいつも会社の愚痴ばかり言う男性がいた。小さな店内では一人の暗い雰囲気がたちまち周りを巻き込む。見かねたはるなさんがある日こう言ったのだ。「言うよねぇ~、止まらないよねぇ~」

「そうしたら、その人も他のお客さんも笑ってくれたんです。きっとそれが嫌な注意のされ方じゃなかったからだと思うんですよね」

今につながる芸はこんな「人とのつながり」から生まれたのだ。

「エアあやや」で大ブレイク! 夢を叶える

ブレイク直後は依頼が殺到し、新幹線やタクシーでの移動中も取材に対応した。睡眠時間が3日で1時間ということも。

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