【虎に翼】玉(羽瀬川なぎ)のデリケートな思いをあっさり知らせてしまう相変わらずの寅子(伊藤沙莉)だが、結果オーライだ
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。困難な時代に立ち向かう法曹たちの姿を描く「虎に翼」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください
★前回はこちら★
【虎に翼】優三(仲野太賀)の最大の弱点を受け継いでいた娘。「スンッ」のない思い出とともに溝は埋まりはじめた!
伊藤沙莉主演のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『虎に翼』の第17週「女の情に蛇が住む?」が放送された。
今週描かれたテーマは、いろいろなかたちでの「友」といっていいのだろうか。
前週ラストで偶然の再会を果たした女学生時代の友人であり旧華族令嬢の涼子(桜井ユキ)と玉(羽瀬川なぎ)を通して描かれるエピソードがひとつの大きな柱となる。平民となった涼子は新潟で玉とともに「喫茶ライトハウス」を経営している。航一(岡田将生)の行きつけのお店として連れてきてもらったことで再会できたわけだが、なかなかの人気店のよう。
この店名が、かつてよね(土居志央梨)が働いていたカフェ「燈台」と重ね合わせられるばかりでなく、「とっておきの料理」として出されたのが、あの法廷劇の小道具として印象的だった「毒まんじゅう」であることにも驚いた。彼女たちの思いや友情は、少なくとも涼子の中では友情はずっと続き、美しい思い出であったことが感じられ、思わず嬉しくなる。
偶然の再会を喜び合う2人。その後の運命によって深い溝が存在した、よねや香淑(ハ・ヨンス)、家庭の問題が大きく立ちはだかりすぐには再会を喜び合うことができなかった梅子(平岩紙)らと違い、初めて喜びをすぐぶつけ合えたこと自体によかったという気持ちが生まれる。
この再会の日、寅子と優未(竹澤咲子)の生活のために、花江(森田望智)の実家で働いていた稲(田中真弓)がやってきた。
「今日は驚きの再会2連発です!」
と寅子は喜びの声をあげるが、さすがにこの偶然の再会2連発はストーリー演出上のご都合主義的なものを少し感じてしまうが、史実と関係なく動かせる登場人物をうまく動かすことで全体のストーリーの幅も広げられ、メインストーリーが円滑に流れ、何より視聴者サービスにもつながるといった効果はあると思うので、「虎に翼」に限らず、必要な偶然なのだろう。