【虎に翼】玉(羽瀬川なぎ)のデリケートな思いをあっさり知らせてしまう相変わらずの寅子(伊藤沙莉)だが、結果オーライだ
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田幸和歌子
寅子の前で「いい子」としての「スンッ」をやり続けることをやめ、少しずつ素直な部分を見せ始めるようになった優未。親子での会話でも少しずつ本音のようなものが聞かれるようになってきているが、そんななかで判明した、実は学校に友達がいないという事実。心配する寅子をよそに、真の「友」はいなくともちゃんと生きていけるという優未。
これは、常に輪の中心にいた寅子には分かりえない感覚だろう。しかし、根っこが自己中心的である寅子は、花江がその典型例だが相手がどういう気持ちでいるかということに全く気が及ばないところがある。優等生であるがゆえに学校の成績が芳しくない優未の気持ちが分からなかったことに続いての、分かり合えない親子の描写だ。同じDNAを受け継ぐのに全く違う部分があったりするのは不思議ではあるが、全然似ていない面があったりするところがリアルな親子の不思議でもある。
ある日の下校時に、優未が友達と一緒に下校するところに出会う寅子。この友達も実は先生が友達に「なってあげて」と頼んだことからそうしていることが分かる。テストの点こそさえないが、優未はそんなところを察する。
「お互い無理をしても誰も幸せじゃないし。そこから友達になるのは難しいと思う。誰のせいでもないよ。だから、もう一緒にいなくていいよ。ありがとね」
そうきっぱり告げる優未。人間は本当に一人では生きて生きづらいもので、決して「友」を必要としないわけではないかもしれないが、優未にとっての「友」がいるのだとしたら、それは単純に周りにいるクラスメートなどではないところにいたり、それが人間でなくてもいいことだってあるだろう。
その夜、寅子と優未は、お互い変顔をして向き合う。それは亡き夫・優三とのやりとりそのままでもある。思えば優三との結婚も、目的のためにという名目から始まったもので、ある種の友情の延長でもあった。自分と違う考えを持ってしっかり生きていくという存在を知る寅子。優未というひとりの人間を見る目も変わってきている。もしかしたら、親子であるものの、ふたりは最高の「友」になる可能性だってあるかもしれない。
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