PROFILE
中村滉己さん

なかむら・こうき●2003年、愛知県生まれ。
幼少期から祖父に三味線の手ほどきを受け、8歳から津軽三味線奏者・二代目中村隆志氏に師事。中学3年生で津軽三味線日本一決定戦、全日本津軽三味線競技会名古屋大会で2度の史上最年少日本一に。22年には第40回記念 津軽三味線世界大会個人A級初出場で優勝。
津軽三味線奏者、民謡歌手としても活動中。

三味線と民謡一筋だった僕の視野と音楽性を広げてくれた曲

1歳のときに民謡発表会で初舞台を踏み、2歳で三味線を始めてからは民謡と三味線の二刀流。そんな僕がプロを目指そうと思ったのは小学3年生の頃です。津軽三味線の師匠から「中村」という一門の名前をいただいたとき、「これからは軽い気持ちじゃダメだな」と心を引き締めました。

子どもの頃から他のことにはまったく興味がなくて、三味線と民謡一筋。少し視野が狭くなっていたかもしれません。もっと視野を広げるために、他の音楽も聴かなきゃいけないな……そう思ったタイミングで出合ったのが、アヴィーチーの「ウェイク・ミー・アップ」という曲でした。高校1年生の頃です。

テレビで流れていたのをたまたま聴いて、「すごくカッコいい！」。洋楽なのに、ちょっと日本的な音階が使われているのも心に響いた理由なのかも。それからアヴィーチーの曲は全部好きになりました。

僕のファーストアルバム『民唄 -TamiUta-』に収録されている「LABYRINTH ―迷宮―」は自分で作曲した曲ですが、アヴィーチーにインスパイアされた作品です。「ウェイク・ミー・アップ」はもちろん、アヴィーチーの他の楽曲の要素にも影響を受けています。

実は、作曲を始めたのは大学に入学してから。大学生って夏休みは暇なうえ、当時はコロナ禍で外出する機会もあまりなかった。そこでパソコンの音楽制作ソフトウェアを使って、自己流で作曲を始めたんです。そういう意味では、コロナ禍が今の自分をつくってくれたのかな、とも思っています。

最近のコンサートでは若い世代のお客さまも増えました。観に来てくれた大学の友人に、なぜ興味をもってくれたのか聞いたら「だってエモいじゃん。今はリバイバルの時代だよ」と。たしかに三味線には再ブームの兆しがあります。でも、残念ながら民謡に興味をもってくれる方はまだ少ない。どうすれば幅広い世代にもっと民謡に親しんでもらえるか……それを考えるのも、民謡歌手でもある僕の役目だと思っています。

アヴィーチー「ウェイク・ミー・アップ」

2018年、28歳の若さでこの世を去ったアーティスト＆音楽プロデューサー、アヴィーチーの代表曲。世界84の国・地域のiTunesアルバムランキングで１位を獲得し、16年にはYouTube上で再生回数が10億回を突破。

アルバムリリースを記念した全国ツアー開催中！

『民唄 -TamiUta-』 日本コロムビア　3500円

今年5月にファーストアルバム『民唄 -TamiUta-』をリリースした中村さんが全国ツアーを開催中。この機会に津軽三味線＆民謡の新たな魅力に触れてみては。　

●8月11日（愛知・宗次ホール）、8月25日（東京・銀座王子ホール）、10月20日（広島・福山市沼隈サンパル）、10月27日（大阪・ザ・フェニックスホール）

https://www.kokinakamura.jp/tamiutatour2024

※この記事は「ゆうゆう」2024年9月号（主婦の友社）の内容をWEB掲載のために再編集しています。

▼▼雑誌『ゆうゆう』の「私の出会った音楽」記事はこちら

ゆうゆう2024年9月号

特集は「折れない」心と体の育て方です。まだまだ続きそうな猛暑。厳しい暑さに、体ばかりでなく心まで折れそうになっていませんか？　体と心はつながっています。ちょっとした気持ちのリセットや体へのアプローチ、食事の見直しで、心を引き上げ、体を鍛える。素敵な方々にそのコツを教わりました。デビュー50周年を迎えた女優の前田美波里さんや、「おくさまは18歳」で大ブレークし、国民的アイドルとなった岡崎友紀さん（歌手、俳優）、ほかにも、人気料理家の藤井恵さんには「折れない」体を作る大豆レシピ、整形外科医師の中村格子さんには「かんたん体操＆ストレッチ」、メンタルアップマネージャ^®️の大野萌子さんには「夏の気分の落ち込み対策」をお伺いしました。

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