イラッとしたときに、即、実践したい【息の吐き方】とは?禅僧 枡野俊明さんに学ぶ
怒りや驚き、緊張などで、平常心を保てないことがあります。「心をコントロールできないときにこそ、呼吸をコントロールしましょう」と、禅僧 枡野俊明さんはおっしゃいます。呼吸を整える方法について、『悩みを手放す21の方法』(主婦の友社)からご紹介します。
▶️▶️悩みを手放す方法とは?
「悩みを手放す方法」とは? ついてない1日が清々しい1日に。枡野俊明さんに学ぶ
プロフィール
枡野俊明(ますの・しゅんみょう)
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺第18世住職。庭園デザイナー。多摩美術大学名誉教授。大学卒業後、大本山總持寺で修行。「禅の庭」を通して国内外から高く評価される。芸術選奨文部大臣新人賞受賞、ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。『禅僧が教える不安に負けない心の整え方』(主婦の友社)など著書多数。
呼吸と姿勢を整える。それが「心を磨く」第一歩
感情に振り回されない人になりたい、どんなときにも落ち着いていたい、自分らしくありたい......そう思う人は多いことでしょう。でも現実には、誰かの言葉や行動にカッとしたり、緊張してうまく話せなくなって実力が出しきれなかったりするものです。
「落ち着け」「冷静に」と脳がどれだけ命令しても、バクバク動く心臓を、手のひらににじむ冷や汗を、私たちは止めることができないのです。
そんなとき、まず確認してほしいのが呼吸です。怒りや驚き、緊張などに心が支配さ れているとき、呼吸は必ず浅くなっているものです。胸だけでハッハッハと短い呼吸をしているはずです。呼吸はそのときの心の状態と結びついているものなのです。
心の状態で呼吸は変わり、呼吸の状態で心が変わります。心をコントロールできないときこそ、呼吸をコントロールしましょう。
禅には「調身、調息、調心」という言葉があります。姿勢を調え(調身)、呼吸を調え(調息)れば、心も調う(調心)という意味です。この3つは不可分のもので、どれかひとつ欠けてもうまくいかないという意味です。
正しい姿勢をとらなければ正しく呼吸することはできません。心が乱れているとき、たいてい肩や背中に力が入っているはずです。胸がギュッと縮こまっているから浅い呼吸しかできないのです。
まずは「ふぅ~~」と息を吐きましょう。呼吸という言葉は、呼(はく)吸(すう) の順番になっていますね。同じように、深呼吸するときも息を吐くことが先です。体の内側にある息を全部出しきるつもりでゆっくりとすべて吐き出しましょう。おなかの中にいた邪気を、すべて体の外に吐き出すイメージです。
全部出しきったら、今度は新鮮な霊気を取り込むような気持ちでゆっくりと息を吸い込みます。吸い込んだ息は胸のあたりでとどめず、おなかまで落としていきましょう。
体に力が入りすぎていると、呼吸はおなかまで落ちていきません。その場合はもう一度、ゆっくりと息を吐きます。そのうち、じょじょに体の力が抜けていくのがわかるのではないでしょうか。
<キーワード>
調身、調息、調心
(ちょうしん、ちょうそく、ちょうしん)
調身とは姿勢を調えること、調息とは呼吸を調えること、調心とは心を調えること。この3つは一体で、姿勢を整えなくては呼吸が整わず、呼吸が整わないと心も不安定なままになるという意味。