シニア世代は1日に何グラムのたんぱく質をとるのが正解?【鎌田實さん】がアドバイス
長野県民を長寿へと導いた、諏訪中央病院名誉院長で、地域包括ケア研究所所長の鎌田實さん。元気な体と心を維持するために、鎌田さん自身も実践している「朝たんぱく質(朝たん)」習慣について教えていただきました。
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>>「ワンシーズン70日間スキーをする76歳」【鎌田實さん】が実践する「朝たんぱく質」習慣。そのメニューは?
お話を伺ったのは
鎌田實さん 医師、作家
かまた・みのる●1948年東京都生まれ。
医師、作家、諏訪中央病院名誉院長。
東京医科歯科大学医学部を卒業後、諏訪中央病院で地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。
1991年に日本チェルノブイリ連帯基金を創設、2004年にイラク支援を開始し、現地に赴き医療活動を行う。
読売国際協力賞など受賞多数。
教えて鎌田さん! たんぱく質との上手なつき合い方
たんぱく質は貯蔵できない。だから3食食べる
「脂質や糖質は過剰に摂取すると体に貯蔵されますが、たんぱく質は、余った分が排泄されるため食べだめができません。たんぱく質が不足すると、今ある筋肉が分解され使われてしまいます。朝から昼はたんぱく質が使われる時間帯。毎食、こまめに摂取しましょう」
1日に必要なたんぱく質量は、体重×1g
「おおよその目安ですが、脂肪分の少ない鶏のささ身やむね肉、牛肉や豚肉の赤身、あじや鮭などの魚の場合、100g中に含まれるたんぱく質量は20g前後です。卵1個は約6g、納豆1パックには約8gのたんぱく質が含まれています。肉を多く食べると脂質のとりすぎとなるので、卵や大豆をうまく取り入れましょう」
フレイルぎみなら、食べる順序はたんぱく質ファースト
「筋肉が少ない人は、1日につき、体重×1.2gのたんぱく質摂取を目指しましょう。そして、食事の最初にたんぱく質をとりましょう。血糖値が気になる場合は『野菜ファースト』がいいのですが、野菜の食物繊維がたんぱく質の吸収を抑えてしまうことがあります。まずはたんぱく質、次が野菜、最後に糖質という流れで食べましょう」
おいしいものはランチで食べる
「僕は、ランチは焼き肉店やステーキハウス、イタリアンなどで外食をしています。ディナーに比べて価格も安く、おすすめですよ。朝食を抜くなどして1日の食事回数を減らすと、次に食べたとき血糖値が急上昇してしまいます。朝食が遅いなら、少し時間をずらしてでも、昼食は食べて、その分夕食を減らしましょう」
少食ならプロテイン食品を活用して
「体重60㎏の人なら1日に必要なたんぱく質量は60g。フレイルぎみなら72g摂取したいところです。3回に分けると1回につき肉か魚を100g、そこに卵や納豆を加えるという量です。そんなに食べられないという人は、プロテイン飲料やプロテインバーを食事に足したり、間食でとったりすると、効率よく摂取できます」
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撮影/佐山裕子、松木 潤(ともに主婦の友社)
写真提供/鎌田 實
取材・文/森山佳織
※この記事は「ゆうゆう」2025年7月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。