イラッとしたときに、即、実践したい【息の吐き方】とは?禅僧 枡野俊明さんに学ぶ
行動の切り替えのたびに、いったん息を吐く習慣を
禅的生活をおこなううえで大切なことは日常の立ち居振る舞いです。それはマナーがよい、見た目がいいというだけのことではありません。所作は、その人のすべてを物語るといっても過言ではないのです。
その人が今どんな精神状態なのか、どんな生活を送っているのか、何に価値を置いているのか、どんな経験をして生きてきたのか、そのすべてが所作に表れているのです。
ドアをバタンと閉める、食器をガチャンと置く、脱いだ服をソファにほうり投げる、人に声をかけられてもぞんざいな返事をする......。そのような行為は、あなたを「物も人も尊重できない人間だ」と証明することになりかねません。
心を整えるためには、まず立ち居振る舞いを整える必要があります。そのために大切なことも、呼吸なのです。
感情にまかせた雑な振る舞いをしているとき、呼吸は必ず浅くなっています。食器をテーブルに置くときにも、人に物を手渡すときにも、パッと衝動的に動きそうになったら一瞬立ち止まって、ゆっくり息を吐きましょう。呼吸が整うだけで、動作そのものがおのずから変わっていきます。
不愉快なメールに返事を書くときにも、家族の発言にムッとしたときにも、ゆっくりと息を吐きましょう。せわしない気持ちがすっと落ち着き、地に足がついたような心持ちになるはずです。
最近は科学的なデータでも、呼吸の重要性が証明されているようです。呼吸が整うと、全身の血流が25%アップするというデータがあります。逆に呼吸が乱れると、血流が悪くなることもわかっています。脳に酸素を運ぶのも血流ですから、冷静な思考力も呼吸と大きくかかわってくるはずです。もちろん健康のためにも、深い呼吸は重要な役割を果たすことは間違いありません。
私たちが生きる社会は、どうしてもストレスフルになりがちです。自分だけ巻き込まれないでいるのは難しいものです。
だからこそ、イラッとしたら息を吐く。そんな習慣をつけましょう。
<一禅チャレンジ>
「丹田呼吸」を習慣に
上手に呼吸するために「丹田呼吸」を練習しましょう。これは「正しい姿勢」や「坐禅」にも欠かせない呼吸法です。
丹田はへその下二寸五分(指4本分)の場所で、ここを意識しな がら呼吸するのです。まずは丹田にある空気をすべて吐ききります。次にゆっくりと息を吸い込みます。息は胸にとどめるのではなく、丹田まで落とし込むことを意識しましょう。
ポイントは、ゆっくり吐いてゆっくり吸うことです。1分間に何 回呼吸(吐いて吸う)しているか数えながら練習するといいですね。 坐禅に慣れた人であれば1分間に3~4回程度になりますが、最初 のうちは 回以下を目指すといいでしょう。
※この記事は『悩みを手放す21の方法』枡野俊明著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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悩みを手放す21の方法
枡野俊明著
主婦の友社刊
戸惑ったりイライラしたりの毎日、そんな心を支えてくれるのが「禅」の考え方です。禅というと、坐禅を組むことが思い浮かびますが、禅では生活そのものが修行なのです。歩く、立ち止まる、座る、横になる。そんな日常の立ち居振る舞いすべてが修行になります。この本では、生活の中に禅的なものを取り入れる21の行動(形)を、禅僧である枡野俊明さんが自ら手本を示しながら教えます。まずは呼吸する、立つ、座るといった「形」を整えることから。そして、食事や生活習慣などの行動、コミュニケーションについて。内面(心)を整えるためには、まず形(行動)から入るのです。行動から入れば、心はあとからついてきます。大切なのは、頭で考えたり悩んだりする前に「行動する」こと。この本を読み終える頃には、禅的生活がきっと身についているはずです。困ったり怒りが湧いてきたら、丹田を意識して、息を吐くこと。それも立派な「禅的生活」です。
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