【おむすび】公式SNSで異例の注意喚起—震災の描写へ。平凡でありたいと願う結(橋本環奈)の心情が明らかに
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田幸和歌子
ラーメン対決の場がなぜか……
ところで、長年の因縁の決着を付けようと、帰郷した歩を待ち受け立ち塞がるように唐突に登場したのが当時の敵対グループだった「天神乙女会」の明日香(寺本莉緒)。
「え、そこそこ年月たって、みんな大人になってそれぞれの生活を送ってるだろうに、どんだけ引きずってるの!?」と思わず笑ってしまうが(この乙女会はルーリーたちのように組織として現代に引き継がれているのかはわからないが)、その決着法がラーメンの替え玉大食い対決というのも、笑うべきところなのだろう。こういった、笑うところですよという部分がいまひとつ機能していないように見えるところもいろいろ「惜しい」気がする。
このラーメン対決の場がなぜかおしゃれなバーというのも「?」となるが、当時の歩たちの溜まり場だったらしく、そのカウンターで「やっぱりここだと思った」と、前回指摘したようにどこか「新喜劇」のように入ってくる歩と結の母・愛子(麻生久美子)。これまで理解あるよき母として描かれてきた愛子が慣れた感じでバーボンのロックをオーダーするところには隣に座る歩と同じように少し驚いたが、愛子にも過去はいろいろあるのかもしれない。
歩の登場によってドラスティックに作品の空気が変わることはなかったが、これらメインの登場人物たちの過去とそれぞれが抱える悩みやトラウマは、どう明かされていくのか。
いよいよ第5週では震災当日の様子が描かれる。番組の公式SNSでは「※来週の第5週には、地震の描写があります。地震の揺れの映像を避けたいとお考えの方のために、先行してお知らせさせていただきます」と異例の注意喚起が投稿されるなど、実際に被災した人々にとっては今なお消えぬ大きな心の傷となっていることは確かだ。
「平凡な日常」を描く本作に訪れる大災害。平凡でありたいと願う結の心情を、視聴者が「それはそうだよね」と共感できる描写、ここまでの1ヶ月の描かれ方があり、少しずつ登場人物にも愛着が湧いてきたころに描かれる過去の大災害。決して「じっくりと」「丁寧に」とは言えないかもしれないが、それだけに大きな衝撃を受けるかもしれない。
本作前半の大きな山を迎えることは間違いない。
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