50代の「疲れているのに4時間しか眠れません」内科医がアドバイス 脳を休ませる簡単な方法とは?
さまざまな不調があらわれる50代。健康に関する疑問に医師がアドバイスします。前回は睡眠のお悩みについて、夜寝る前の“スイッチオフ”が大事だということを婦人科医に伺いました。今回も睡眠がテーマ。「疲れているのに長時間眠れない」というお悩みに、内科医の石原新菜先生がアドバイスします。まとめて眠れない3大理由とは?
「悪夢を見ます」にアドバイス
50代の睡眠のお悩み「悪夢を見て嫌な気持ちで目覚めます」婦人科医がアドバイス 嫌な夢を見た朝に心がけたいことは?
医師
石原新菜
いしはら・にいな
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。著書に『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など多数。
いしはら・にいな
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。著書に『やせる、不調が消える 読む 冷えとり』(主婦の友社)など多数。
Q
疲れているのに4時間くらいしか、まとめて眠れません。ずっと疲れを引きずっている気がします。老化なのか、ストレスなのか、疲れなのか、わかりません。夢見が悪い日もあり心配です。
A
加齢、更年期、冷えなど、まとめて眠れない理由はさまざまです。目が覚めてしまったら、目を閉じるだけでも休息になります。
疲れているのに眠れない、3つの理由
疲れているのに、4時間くらいしか眠れないのは下記のような理由があります。
【1】睡眠に大きく影響するホルモンのメラトニンの分泌が少ないから
子どもが10時間ぐらい眠れてしまうのは、メラトニンがたくさん出ているから。ところがこのメラトニン、加齢に伴って分泌量が減ってきます。そのため、眠りたいのに眠れない、若いころのようにたっぷり睡眠がとれないという悩みが生まれてくるのです。
【2】更年期の影響
更年期特有のイライラや不安も、睡眠時間や睡眠の質に影響しているでしょう。
【3】冷え
冷え性の人は寝つきが悪く、途中で目が覚めやすいという特徴があります。
人は深部体温(脳や臓器など、体の内部の温度)がすっと下がると、スムーズに寝つくことができます。ところが冷え性の人は、もともとの体温が低いので、深部体温がすっと下がらず寝つきが悪くなるのです。
また季節に関わらず、24時間のうちに気温が一番下がるのが明け方の3~5時ぐらい。気温が下がると、「体温が下がると危ないよ」と脳が危険を感じさせて目覚めさせようとします。それで11時、12時にベッドに入っても、明け方の3時、4時に目が覚めてしまって、トータル4時間ぐらいでしか眠れないということが起こるのです。
目を閉じているだけで、脳は休息をとれる
対処法としては、まずメラトニンをしっかりと出すこと。朝起きたら太陽の光を浴びて、メラトニンを作るモトになるセロトニン(ハッピーホルモン)の分泌を促しましょう。
冷え性の人は寝る1~2時間前にお風呂にゆっくりとつかって、体を芯から温めること。そうすると深部体温が上がるので、上がった体温が下がるときにすっと寝つけるでしょう。明け方の気温が下がる時間帯に目が覚めにくいよう、湯たんぽを使うのもおすすめ。もし明け方に目覚めても、ぬくぬくとした湯たんぽに触れることで、眠りに戻りやすいと思います。
何を工夫しても、「4時間で目が覚めてしまう」のであれば、無理に眠ろうとがんばらず、起床時間まで目を閉じてじっとしていてください。目から入ってくる刺激がなければ、脳は休息をとれます。
「眠れない」「睡眠時間が足りない」と焦ると、余計に眠気は遠ざかっていくものです。「目は覚めたけど、目をつぶっているから、脳はちゃんと休めている」と考えると、リラックスして眠くなってくるかもしれません。