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【榊原郁恵さん】渡辺徹さんが亡くなる直前に贈ってくれた言葉が今、生きる支えに!

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ゆうゆう編集部

毎日を支えてくれる夫からのメッセージ

結婚記念日や誕生日に、夫の渡辺徹さんはいつも花を贈ってくれたそう。そこに添えられたメッセージカードも郁恵さんの宝物だ。2022年11月に亡くなった徹さん。その1カ月前の結婚記念日のカードには「いつまでも笑顔で元気に 徹より」と書かれていた。

「その前の年は『一生を共にさせてください』でした。今思えば私、どれだけひねくれていたんでしょうね。『こんなときばっかりご機嫌とろうとしちゃって』とか、『一生を共になんて、将来介護してってことね』と素直に受け取っていませんでした。まさか一生がこんなに早く過ぎてしまうとも思わずに……」

言葉はつくづく不思議なものだと郁恵さん。受け取る側の心持ち次第で、素通りしてしまうこともある。しかし時を経て、過去にもらった言葉が心に響くこともある。

「家にはまだ祭壇があるので、カードはそこに置いています。『笑顔』と『元気』。たわいない言葉のようで、文字で見ると重みがあるんですよね。落ち込んでいても笑顔になれば気持ちまで上向きになることってあるじゃないですか。最後のメッセージになってしまったこの言葉をなぜ選んでくれたのかはわかりませんが、毎日心に刻み、仕事に行くときもこの言葉が私を送り出してくれます」

ストレートな言葉をくれた徹さんに対して、自分は素直な言葉を伝えていなかったなと感じるそう。今、何か言葉を贈るとしたら……。

「単純ですが、やはり『ありがとう』と言いたいですね。これまでのことはもちろん、今日一日を無事に過ごせたこと、そして今も自分を支えてくれていること。それがあるから前向きに進んでいけます」

「いつまでも笑顔で元気に」

夫の渡辺徹さんが亡くなる直前の結婚記念日に贈ってくれた言葉。「なじみのお花屋さんに電話して、この言葉を伝えていた夫のことを想像すると何だか微笑ましくって。もらったときより、今のほうが支えられています」

「一歩一歩、ひとつひとつ」が郁恵さんの信条。俳優の道を歩む息子たちにも伝えたい言葉だという。

「私も経験があるのですが、この仕事はムラがあるもの。忙しいときは何もかも重なってパニックになり、投げ出したくなることもあります。でも、どんなときでもひとつひとつ向き合うこと。そうすればちゃんと乗り越えられるし、自分の財産になるはず。自分自身も含めて、いつも笑顔で進んでいけたらと思います」

「投げ出したくなるときこそひとつずつ」

郁恵さんが、ともに俳優の道を歩む長男の裕太さんと二男の拓弥さんに伝えたい言葉。忙しいときこそ目の前の仕事とひとつひとつ丁寧に向き合うこと。そのすべてが自分の身になる。郁恵さん自身もそう心がけてきた。

INFORMATION 舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

ハリーたちが魔法界を救った19年後、彼らとその子どもたちの物語を描く。ロングラン上演3年目。郁恵さんはマクゴナガル校長役で出演中。「舞台はまさに生もの。一回一回全力で臨んでいます」
https://horipro-stage.jp/stage/harrypotter


PROFILE
榊原郁恵 俳優、タレント

さかきばら・いくえ●1959年神奈川県生まれ。
第1回ホリプロタレントスカウトキャラバン、グランプリ。77年歌手デビュー。
ミュージカル『ピーター・パン』で初代ピーター・パンを務め、第19回ゴールデン・アロー賞大賞、演劇賞を受賞。現在も舞台、テレビ、ラジオで幅広く活躍中。
87年に俳優の渡辺徹さんと結婚。2児の母に。2022年、徹さんが逝去。

取材・文/志村美史子

※この記事は「ゆうゆう」2025年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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