【岡田将生さん&木戸大聖さん】3人が「出逢ってしまった」というのがふさわしい、運命的な作品です|映画『ゆきてかへらぬ』2月21日公開
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ゆうゆう編集部
近代日本を代表する天才詩人・中原中也と、彼の才能をいち早く見いだした文芸評論家・小林秀雄。彼らは一人の女性をめぐって「三角関係」にあったということも知られています。その彼らの青春が映画化されました。演じる岡田将生さん、木戸大聖さんに役に臨んだ思いを聞きました。
PROFILE
岡田将生 俳優
おかだ・まさき●1989年8月15日東京都生まれ。
2006年デビュー。09年『ホノカアボーイ』で映画初主演を果たす。
21年の出演作『ドライブ・マイ・カー』は米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。
主な出演作にドラマ「虎に翼」「ザ・トラベルナース」、映画『ゴールド・ボーイ』『ラストマイル』などがある。
PROFILE
木戸大聖 俳優
きど・たいせい●1996年12月10日福岡県生まれ。
2017年俳優デビュー。22年、Netflixオリジナルシリーズ「First Love 初恋」の好演で注目を集める。
主な出演作にドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」「9ボーダー」「海のはじまり」、Netflixオリジナルシリーズ「忍びの家 House of Ninjas」、アニメ映画『きみの色』などがある。
重厚感のある完成度の高い脚本を受け止めて
2月21日公開の映画『ゆきてかへらぬ』は、大正~昭和前期を舞台に、詩人の中原中也、文芸評論家の小林秀雄、そして両者の恋人であった長谷川泰子という女性、3人の青春を、実話をもとに描く物語だ。
中也を演じるのは、瑞々しい感性と確かな演技力で高い評価を得ている若手の成長株、木戸大聖さん。小林秀雄を演じるのは、キャリアを重ねてますます演じる役柄も演技の幅も広がる岡田将生さんである。そして中也と恋に落ち、その後、小林のもとに走る駆け出しの女優・長谷川泰子を、広瀬すずさんが演じる。
そう聞くと、今、この人たち以外にこれらの人物を演じられる役者はいないのではないかと思えるほど、時宜を得たキャスティングである。
日本を代表する名脚本家・田中陽造さんが長らく温めながら、映画化実現に至らなかった幻の脚本・企画。このたび、根岸吉太郎監督が自ら働きかけ、16年ぶりにメガホンを取った。冒頭から映像、台詞の織りなす独特の世界観に、一気にその時代へ引き込まれていく。脚本の印象を岡田さんはこう振り返る。
「とても完成度の高い脚本だと思いました。一つひとつの言葉がきれいなんですよね。読んでいると、声に出したくなる台詞が多い。登場するキャラクターが少ない分、一人ひとりの個性が強く出ていて、しかも彼らは誰もがよく知る実在の人物ということも重なって、『これはすぐにやりたい』と思いました」
木戸さんはその内容に圧倒された。
「いつもの何十分の一ぐらいのスピードで、じっくり時間をかけて読みました。行間に思いを馳せたり、台詞に『…』と記されていることが多いのですが、そこにどんな感情が込められているかを考えたりしながら読み進めていくと、読み終えたときに『うわぁ!』と背もたれによりかかってしまうような重厚感がありました。これを演じていくのかと、一層身が引き締まる思いがしました」
大正時代の京都、20歳の長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢い、ともに暮らし始める。やがて二人は上京、中也は詩作に傾倒する中で小林秀雄と出逢い、小林によってその才能を見いだされ、高く評価されていく。だが一方で、泰子を奪われる結果にもなる。小林が「奇妙な三角関係」と呼んだ三者の関係は、恋愛面で激しくもつれ合い、互いの才能には惚れ込み畏敬の念を抱き続けるという複雑で激しいものだ。