【岡田将生さん&木戸大聖さん】3人が「出逢ってしまった」というのがふさわしい、運命的な作品です|映画『ゆきてかへらぬ』2月21日公開
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ゆうゆう編集部
3人の関係は引力。運命的に必然的に引き合う
根岸監督は、そんな二人にこうして、ああしてと指示するのではなく、「中也というのはね」「小林ってこうだったんだよ」というように、彼らのエピソードや人物像を伝えていく演出方法をとったそうだ。
「助言を与えてくださって、あとは『自分で探してみてください』というような、包み込んでくださる感じがありました。監督自身が中也を大好きなんですよね(笑)。だからなのか、この作品へののめり込み方に、どこか少年っぽさがある。そこに僕も心奪われました」(岡田さん)
「『好き』の共有でしたよね(笑)。監督自身のこれまでの人生で、中也と重なる部分があるのかもしれないと思えるほど、丁寧に細かく演出してくださった。その中で学ぶことも多く、とにかくそれに何とか応えたいという一心でした」(木戸さん)
芸術家3人の魂のぶつかり合いは、ヒリヒリするような切迫感、哀感、痛み、そして今では望めないロマンへの憧れも感じさせる。
「この3人って引力なんですよね。小林、中也とも、互いは真剣に渡り合える唯一の存在であった。才能と才能のぶつかり合いって、剣の切っ先を常に向かい合わせているような状態。それが泰子を通じてより鋭くなった気がします」(岡田さん)
撮影は順取り(物語の進行どおりに進める撮影方法)で行われた。それがよかったと二人は口をそろえる。
「中也の最期を演じなければいけなかったので、そこに向けて詩人としての熟成を丁寧に積み重ねていけたのは救われましたね」(木戸さん)
「僕の場合、それはラストシーンに生かされていますね。喪失感とカタルシスと。すべてが詰め込まれた場面だったと思います」(岡田さん)
役を演じるのに「旬」があるならば、この映画は3人の俳優のそれが奇跡的にピタリと合った稀有な作品だ。その意味でも、それぞれの魅力が全開となりあふれている。
「老若男女すべての層の方に観ていただきたいのはもちろんですが、僕がこれをやりたいと思った理由の一つは、中也や小林を知らない若い方に知ってほしいと思ったことでした。ぜひ観て何かを感じていただけたら嬉しいです」(岡田さん)
【INFORMATION】広瀬すず×木戸大聖×岡田将生 『ゆきてかへらぬ』
物語の舞台は大正時代〜昭和前期。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合う二人は、互いに惹かれ、一緒に暮らし始める。その後東京に引っ越した二人のもとを、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせる―。実在した男女3人による狂気の愛と青春物語。
監督/根岸吉太郎
脚本/田中陽造
出演/広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本 佑
配給/キノフィルムズ 2月21日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷 他 全国公開
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
※この記事は「ゆうゆう」2025年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/中村彰男 取材・文/志賀佳織
スタイリング/大石裕介(岡田将生さん分)、富田彩人(木戸大聖さん分)
ヘア&メイク/小林麗子 (岡田将生さん分)、石邑麻由(木戸大聖さん分)
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