【岡田将生さん&木戸大聖さん】3人が「出逢ってしまった」というのがふさわしい、運命的な作品です|映画『ゆきてかへらぬ』2月21日公開
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ゆうゆう編集部
現場に入ったとき、中也がそこにいると思った
まず驚くのは、二人の演じる中也も小林も、本人ではないのかと錯覚するほど、彼らの姿そのものであることだ。今回、映画化がやっと実現した理由の一つがそれだ。岡田さんは言う。
「僕が途中から撮影に参加した時点で大聖は中原中也そのものでした。そこへ僕が入ってから、彼自身の成長とともに、中也も現場で生き始めているのではないかと思える瞬間がものすごくあって、それを監督も逃さないように隙なく徹底的に演出をつけられているのが、この作品の推進力になっていた気がします」
役づくりについて木戸さんが言う。
「いろいろ勉強する中でもよかったのが、山口県の中原中也記念館に行かせていただいて、この物語に登場する17歳以前の彼について知れたことでした。中也は傍若無人で、いろんな人に噛みついて闘うのですが、もともとは医者の家に生まれ『神童』と呼ばれて恵まれた環境に育った。その彼が弟の死などさまざまな『死』を経験して、それが詩人の礎となった。それを知れたのはよかったです」
岡田さん演じる小林も、中也の才能を高く買いながら、少し引いた立場から冷静に彼を見守るところなど、実際こうだったのだろうと自然に思わせてくれるところが印象的だ。
「確かに、少し『監督』のような俯瞰した目でこの中也と泰子を眺めたいなという思いはありましたね。後世に名を残す方々には多々エピソードが残されていて、小林さんについても、どこか卓越した、人間離れしたところを語る逸話が多い。それを十分知って用意していかないと不安ではあるのですが、一方で現場に入ったときには、すべてを捨てて無防備になった状態でカメラの前に立とうということも意識しています。僕はあと1年撮影が遅かったらたぶんこの役をやっていなかったかもしれない。というのは、小林秀雄という人は、どこか若さもありながら熟成されているところもあり、そのバランスがちょうど保って演じられるのが今だと思ったからなんです。『今なら僕はこの役はできる』と思った瞬間がありました」