私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

お墓でまさかのダブルピース!ナベべ(緒方直人)満面の笑顔になごまされた【おむすび】

公開日

更新日

田幸和歌子

お墓でまさかのダブルピース!ナベべ(緒方直人)満面の笑顔になごまされた【おむすび】

「おむすび」第85回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。平成青春グラフィティ「おむすび」で、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はこちら▼

ヒロインが完全に不在となったのは朝ドラ史上初か!?スピンオフ的展開が続く【おむすび】

思い出は思い出として……

さて、橋本環奈演ずるヒロイン米田結が(ほぼ)不在の「米田家の日常」(語り曰く)編、2週目となる第17週「Restart」が放送された。

この週描かれたストーリーの大きな柱は、
・ショッピングセンター進出による、さくら通り商店街激震問題
・ギャル系ショップ「ガーリーズ」が、チャンミカ(松井玲奈)の恋人に騙され盗難事件などによる経営危機問題
という2つの問題といったところだろうか。

問題1つ目のショッピングセンター進出については、その予定地に該当することで土地買収を迫られている靴職人のナベべこと渡辺(緒方直人)の葛藤が大きな山場として描かれる。

あらためて簡単に説明すると、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災によって、渡辺は一人娘の真紀を失ったという深い悲しみの中に沈み続けた十数年だった。真紀は結の姉・歩(仲里依紗)の親友であり、本作のメインモチーフのひとつである「ギャル」に憧れていた。そんな真紀の思いを受け継ぐかたちで歩がギャル道を極めたことはご存知の通り。

渡辺は、時が経つにつれ、少しずつ娘のことを忘れかけている自分を苛んでいた。娘との思い出が詰まったこの店舗兼住居が失われることで、娘の記憶や思い出をさらに忘れてしまうのではないかと(炊き出しイベントの際に「おいしいもの食べたら悲しいことちょっとは忘れられる」と、結たちのおむすびを涙ながらに頬張っていたことは置いておこう)。

歩のことを忘れかけていることに気づき悩むのは、歩も同じだった。それを母の愛子(麻生久美子)に告げたところ、
「忘れるってそんなに悪いことじゃないと思う」
と、母は言う。
「そのぶん自分が前に進んでるってことでしょ?」
ということらしいが、このお母さん、ブログを書く以外あまり大きなことをやっていない気もするわりに、いつも何かわかったふうな立ち位置でもっともらしい物言いをするのは気になるところではある。

このナベべ問題は、歩が持っていた、2人の歌声が録音された1本のカセットテープによって、思い出は思い出として昇華された。

PICK UP 編集部ピックアップ