「正直、老後に2000万円も必要ないです」介護が始まっても大丈夫?その内訳を解説【鎌田實さん×荻原博子さん】
老後の一番の「節約」は何か、わかりますか? それは「健康でいる」こと。お金を貯めながら長生きできる「健康」と「お金」のプロの結論を、鎌田實さんと荻原博子さんが本音で対談。話題の新刊『お金が貯まる健康習慣 』から、一部を抜粋してお届けします。5回に分けて紹介する第4回は、老後資金と介護費用の目安について。
▼前回はこちら▼
60代年収400万円。高額医療費制度を使ったのに約41万円の出費!?「老後貧乏」にならないために、今できること【鎌田實さん×荻原博子さん】日本人は亡くなる直前が一番お金持ち
荻原 ところで、老後に不安を抱える人が多いのは、いわゆる「老後に2千万円不足する問題」があったせいなのかな、と思います。
鎌田 ああ、「2千万円問題」ね(笑)。そんなにたくさんのお金が必要じゃない人だって、世の中にはいっぱいいると思うんだけど。
荻原 そもそも「2千万円不足する」っていうのは、2017年の家計調査をもとに、金融審議会の市場ワーキング・グループが行った試算がもとになっているんです。65歳以上で夫婦のみ・無職の世帯の平均支出は26万3718円なのに対し、年金などの収入が20万9198円。計算上では1カ月あたり5万4520円不足する。このままあと30年生きれば2千万円不足する、という計算なんです。
鎌田 ずいぶん乱暴な話だよね。人それぞれ収入も出費も違うのに。
荻原 そうなんですよ! 事実、そのあとコロナ禍になって家庭の支出が減ると、計算上の老後資金はプラスに転じたんです。この計算には何の信憑(しんぴょう)性もないっていうことは、もう多くの人が気づいていると思いますけれど。
鎌田 それでもやっぱり不安になるから、みんなお金を貯める。でも、不安だから、貯めたお金は使わないんだよね。
荻原 おっしゃるとおりです。日本人って、亡くなる直前が一番のお金持ちなんです。
鎌田 荻原さんは、老後資金はいくらあればいいと考えているの?
荻原 正直、そんなに多くはいらないと思っていますよ。サラリーマンとして働いてきた人であれば、一般的に夫婦で1カ月約22万円の年金をもらうことができます。子どもが独立し、家のローンを払い終わっている場合、この金額の範囲で暮らせている人がかなり多いようです。しかも最近は65歳で完全にリタイアする人は減っているんです。2022年の厚生労働省の調査によれば、65~69歳の男性の61%、70 ~74歳なら42%が働いているんですよ。定期的な収入があるので、貯蓄をくずさずに生活できる人はかなり多いと思いますよ。
鎌田 それはそうだよね。だとすれば2千万円はいらないね。
荻原 私もそう思います。