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60代年収400万円。高額医療費制度を使ったのに約41万円の出費!?「老後貧乏」にならないために、今できること【鎌田實さん×荻原博子さん】

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ゆうゆうtime編集部

老後の一番の「節約」は何か、わかりますか? それは「健康でいる」こと。お金を貯めながら長生きできる「健康」と「お金」のプロの結論を、鎌田實さんと荻原博子さんが本音で対談。話題の新刊『お金が貯まる健康習慣 』から、一部を抜粋してお届けします。5回に分けて紹介する第3回は、「不健康でいると“老後貧乏”になりかねない!」。

▼前回はこちら▼

知らないとまずい!医療費負担に年間10万円以上の差が出る「メタボ指標」【鎌田實さん×荻原博子さん】

がんのステージで、かかる医療費が変わる

鎌田 メタボが原因で、がんになるケースもあるんですよ。異所性脂肪といって、内臓脂肪がたまると同時に、本来は脂肪がないはずの場所に脂肪がついてしまうこともあるんです。その代表が脂肪肝です。

荻原 脂肪肝を放置すると、肝硬変になって、そこから肝臓がん……という流れですよね。

鎌田 そうです。以前なら肝臓がんの主な原因はウイルス性肝炎だったんですが、抗ウイルス薬のおかげでずいぶん減らすことができました。一方で増えているのが、脂肪肝からの肝臓がんです。内臓脂肪をためないこと、減らすことはとても大切なんです。

荻原 がん検診に行くことも大切ですよね?

鎌田 もちろんです。早い段階でがんが見つかると治療も短期間ですむし、医療費もそんなにかかりません。一方、進行してから見つかると入院期間が長くなったり、抗がん剤治療が長期間にわたったりするので、医療費の負担も段違いです。

ここに全日本病院協会の資料(2023年度)があるんですが、直腸がんの例ですと、ステージ0(がんが粘膜内にとどまっていて、リンパ節転移がない場合)で見つかった人の1回の入院にかかる医療費は約49万円ですが、ステージ4で見つかった人は約179万円と大きな差がついているんです。

荻原 そんなに違うんですね。でも健康保険がありますから、患者本人の自己負担はその3割から1割ですみます。さらに高額療養費制度があるので、月々の患者の負担は約9万円が上限になる場合が多いと思うのですが……。

鎌田 そうです。ただ、健康保険が適用されない差額ベッド代や入院中の食費は意外にかかります。重症になるほど入院期間が延びますし、退院したあとでも抗がん剤治療などで通院が必要です。その分、医療費を毎月支払い続けなくちゃいけません。

荻原 早期発見できれば、治療期間も短くてすみますね。

鎌田 早く見つかるか進行してから見つかるかで、体への負担も財布への負担もまったく違うんです。働き盛りの人は仕事を長く休まなくちゃいけない場合もありますから、収入も気になります。子育て世代の人ほど、早い段階で検診を受けたほうがいい。

荻原 そこはケチっちゃいけませんね。

Profile
鎌田實さん 

かまた・みのる●医師・作家。1948年東京都生まれ。
30代で諏訪中央病院の院長となり赤字病院を再生。地域包括ケアの先駆けに。国際医療支援、全国被災地支援にも力を注ぐ。

この記事の執筆者

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