私らしく生きる 50代からの大人世代へ

記事ランキング マンガ 連載・特集

【和田秀樹さん】「医師の指示を鵜呑みにして食べたいものを我慢していませんか?」60代からの敵、その意外な正体

公開日

更新日

志賀佳織

年金生活に入る頃から、気になり始める「終活」。後に遺される人たちの負担をなるべく減らすためにも準備は必要だよ、という人がいる一方、いやいやそんなものは不要だよという人も。老年精神科医の和田秀樹さんは後者。なぜ「終活」は要らないのか、その考えを全6回でご紹介します。今回は第4回です。

▼前回はこちら▼

≫≫【和田秀樹さん】「最終的に元気で長生きできる人の条件は…」高齢期に入る前に知りたい「終活」の心構え

和田秀樹さん 精神科医

わだ・ひでき●精神科医。1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として35年以上にわたり医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『逃げ上手は生き方上手』『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』『女80歳の壁』など著書多数。

和田さん曰く「命を削る行為」とは?

「いつまでも健康で長く生きたい」というのは誰もが願っていること。その願いは、日々の生活習慣を正すだけでは叶わない。生きている楽しみを失うことなく長生きする秘訣とは?

楽しみを 削って命 削るバカ

これまで1万人以上の患者と診察や介護を通じて出会ってきた和田さんは、その経験から「最期に『後悔しない』とか『まあ幸せだった』と言える人のほうが安らかな最期の期間を過ごしている言える」と言う。医師の指示を鵜呑みにして、食べたいものも我慢して、お酒も飲めず、たばこもやめさせられる。幸齢者にとって、楽しみが削られていくことは、命を削る行為。免疫力が著しく低下し、生命力も弱まってしまう。
「若い世代なら、塩分やコレステロールは『健康の敵』になるかもしれませんが、60歳を過ぎたら『敵』は変わると考えましょう。幸齢者にとって、最大の敵は、楽しみを奪われること。行動を制限されればされるほど、体も心も弱っていき、免疫力も弱まります」
楽しみを削ると結果的に生命力を奪ってしまうことにもなる。そうならないためにも、楽しみをないがしろにしない生き方を選びたい。

検診を 受けぬ女子こそ 長寿なり

長生きのためには定期的に健診を受けることが大事と考えている人は少なくない。しかし果たしてそうだろうか。和田さんは疑問を投げかける。
「なぜ女性は男性より長生きをするのか。それは男性よりも健康診断を受ける機会が少なかったからだと私は思います。現代は男女を問わず健康診断を受けるようになりましたが、以前は男性が会社で行われるのが一般的。女性は専業主婦率が高い現在の幸齢者の場合、男性のほうが受ける機会が多かったのです」
仮に健康診断が寿命を延ばすのであれば、男性の平均寿命は延び、女性は縮むはず。ところが、実際には逆だ。健診を受けたら『B』や『C』の項目が気になる。病院に行けば診断名がつき、飲む必要のない薬を処方されてしまうこともある。
「私は自分の経験から『検査データを正常にしたら、元気で長生きできる』などという思い込みは、ほとんどウソに近いとわかっているのです」

PICK UP 編集部ピックアップ