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【超要約】名作のあらすじを読もう!

芥川龍之介の『あばばばば』あらすじ紹介。人間模様と日常の愛おしさ—温かくも哀愁を帯びた物語

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ゆうゆうtime編集部

芥川龍之介の短篇『あばばばば』。喫煙具を買いに訪れるたばこ屋で繰り広げられる日常のやり取りが、何気ない変化の中で人間の感情や関係の微妙な移り変わりを鮮やかに描き出します。その結末にあなたは何を感じ取るでしょうか?

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最初の出会い——眇(すがめ)の主人と無愛想な対話

物語は、主人公の保吉がふとしたきっかけで訪れたたばこ屋から始まります。学校の赴任日に立ち寄ったその店で、保吉は高い勘定台の後ろで寡黙に佇む眇の店主と出会います。愛想を振りまくどころか、粋ではあるものの、どこか冷淡で押し付けがましい態度の主人。保吉はそっけないやりとりの中でも僅かな反抗心を抱きつつも、その店の独特な雰囲気や一銭硬貨と小さな品々の物々しいやりとりに、いつしか足繁く通うようになります。こうした日常の些細な出来事には、不思議な温もりと手ざわりを感じずにはいられません。

変化の訪れ——若い女性との初対面

時の経過とともに、ある初夏の朝、その無愛想な主人は店先から姿を消し、代わりに現れたのは猫のような顔立ちを持つ若い女性でした。彼女の不慣れで初々しい接客に、保吉は新鮮な驚きを覚えます。「朝日」を頼んだつもりが「三笠」を渡される彼女の不器用さに、つい笑みがこぼれてしまうことも。時折見せる赤くなる顔やたどたどしい仕草には透明なような人間味があり、この変化がたばこ屋という空間に新たな色彩をもたらします。

女店員への好奇心と心の動き

彼女に惹かれる要素は、恋愛感情に直結するものではありませんでしたが、その人懐こさを感じさせる不器用な言動に保吉は心和むものを感じます。そしてある日、不意のいたずら心を覚え、彼女の反応を試そうとする場面も描かれます。このように些細ではありますが、人間関係の中で誰しもが抱く小さな感情のやり取りが、筆致鮮やかに描写されています。まるで普段の自分の行動に重なるようではないでしょうか?

未来への伏線——突然の別れと再会

ある日、親しみを抱いていたその若い女性が、突然店から姿を消します。店には再び主人の無愛想な姿が戻り、保吉の心にはどこか空虚な感覚が残ります。しかし、物語の結末近く、道路沿いでふと彼女と再会した保吉は、赤ん坊を抱える「母」としての彼女の姿の変化に驚きます。かつての不器用さや初々しさは影を潜め、たくましさと明朗さを持った姿へと変わっていました。彼はもう彼女を「娘」ではなく、一人の逞しい「母」として見出すのです。

まとめ

芥川龍之介の短篇「あばばばば」は、一見平凡でありながらもその背後に、日常の人間模様や感情の機微がさりげなく描かれています。喫煙用品を買いに訪れるたばこ屋という舞台で、人々のやり取りや成長、そして不可避的な変化や別れが、繊細な筆致で彩られています。この作品の魅力は、小さな舞台上で展開される細やかな感情と、人々の日常の何気ない会話の中に隠されたドラマ性にあります。「あばばばば」という赤子をあやす声が響く結末は、変化と成長、そして新たな生命の息吹を象徴しているかのようです。この温かくも哀愁を帯びた物語は、読む人それぞれに異なる感動を届けてくれるでしょう。

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