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75歳を前に、熊本に移住した【姜尚中さんの終活】「妻が毎朝作ってくれます」健康維持の秘密とは?

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ゆうゆうtime編集部

今年8月で75歳になるという、政治学者 姜尚中さん。数々のベストセラー本を持ち、論客としても知られる姜さんは、今この時代を「乱気流に入っている」といいます。話題の新刊『最後の講義 完全版 政治学者 姜尚中』(主婦の友社)では、世界の中で、私たちがこれからをどう生きるのかという指針を示しています。ここでは、ゆうゆうtimeの読者目線で身近な疑問に答えていただいたインタビュー第3回をお届けします。

▼前回はこちら▼

【姜尚中さんのターニングポイント】両親の国・韓国を初めて訪れたときの衝撃/ネットで広がる反中感情を考察

女性に負担がかかりがちの介護問題。韓国や中国と比べて日本は進んでいる?

——介護の問題について伺います。日本では60代くらいまでは、親の老後は子どもが見るものと考えている方も多いです。一人で抱え込む人、仕事をあきらめなければいけない人は少なくありません。韓国や中国も比較的、そういった意識の方が多いと聞いています。

姜尚中さん(以下、姜尚中) 介護についてはいろいろ問題がありますが、韓国や中国と比べると、日本は進んでいますよ。老人の貧困化というのはものすごく大きなテーマ。1人当たりのGDPは日本を抜いたといわれる韓国も、介護保険制度や年金などの制度設計は少し遅れています。ただ、市民社会の取り組みはかなり進んでいます。

日本はいろいろな介護の問題が出てきていますが、介護をひとりで抱え込むことはよくないと思います。自宅で親をみている人には、訪問介護を充実させなきゃいけない。介護のエキスパートの話を聞く限り、個人でなんとかできるというのは間違い。専門家の意見を聞きながら、人の助けを借りる。他力が必要ということです。

しかし、それにしても、介護に従事する人たちの賃金水準があまりに低い。人材育成をやらなきゃいけないけど、まだ足らないんですよ。だから結局、介護の問題を家族や個人の問題に還元してしまう。国や自治体がしっかりセーフティーネットを作って人材を育成していかなくてはいけない。

では今具体的にどうするかということが差し迫るわけですが、介護のために女性が消耗して大変な目に遭うという例は、私もたくさん知っています。どんなに男女平等といっても。結局女性に負荷がかかる。

悩み相談でよくあるのですが、60歳の女性が自分のお父さんとお母さんの介護を一生懸命やってきたけれども、疲れ果てて、それで施設に入れたら、「親不孝」ってののしられてね。で、「私は悪いことしてるんでしょうか」——という典型的な悩みです。
1週間のうち1日でも2日でもいいから自分のところに引き取って、また施設に入ってもらうなど行ったり来たりして、その間は訪問介護に来てもらう——。たとえばそういったことを充実させて、できる限り負担を軽減していくしかないでしょうね。

姜尚中 インタビュー

「介護についてはいろいろ問題がありますが、韓国や中国と比べると、日本は進んでいますよ」

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