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【要約小説】名作のあらすじを読もう!

山川方夫の『お守り』あらすじ紹介。もう一人の自分の出現…主人公が求めた「お守り」の行方は?

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ゆうゆうtime編集部

山川方夫の短編小説『お守り』は、団地生活という規格化された環境の中で「自分らしさ」を失いかけた主人公が、アイデンティティーを求めて苦悩する物語。その結末には驚愕(きょうがく)の真実が待っている!

突如語られる恐ろしい「お守り」と団地生活への不満

友人の関口が主人公に語り始めた話、それは「ダイナマイトが手元にある」という衝撃的な一言で幕を開けます。団地での新婚生活に喜びを抱いていたはずの関口。しかし、そこには日々の平凡さの中で人格が画一化されていくことへのいら立ちや恐怖が潜んでいました。そして、その平凡さを象徴するかのように現れたのが、自分とあまりにも境遇や様子が似ている男、黒瀬次郎との出会い。彼は関口にとって、自身の「規格化された日常」を突きつける存在だったのです。

「もう一人の自分」によるアイデンティティーの危機

ある夜、関口は団地の前で黒瀬と遭遇し、彼がまるで自分自身のように行動している様を目撃します。そして、その黒瀬が自分の部屋だと錯覚し、同じ団地内の別の部屋に間違って入ってしまうという出来事が起こります。さらに驚くべきは、関口の妻までもがその勘違いに気づかずに日常を過ごしてしまうことでした。この出来事を機に、関口は団地生活がいかに規格化され、彼の存在が他の住人と区別できないほどに埋没していることに気が付きます。この「もう一人の自分」の出現は、彼のアイデンティティーへの危機感を一層高める結果となります。

アイデンティティーの証明としての「お守り」

自分が「ただの規格品」で終わりたくない、と強く感じた関口は、自分の独自性を見つけるための「お守り」を求めます。その結果、彼が選んだのは「ダイナマイト」という物理的にも象徴的にも破壊力を持つアイテム。それは自らの力でこの規格化された日常を終わらせる、あるいは拒絶する象徴でした。彼はそれを「お守り」と呼び、他者とは異なる自分の証明として内なる安定を得ようとします。

恐るべき結末――日常の裏に潜む崩壊

しかし関口の話は、驚くべき結末を迎えます。彼がダイナマイトを手に入れた理由を語る中、彼自身が気づいたのは「同じ団地に住む黒瀬が実は同じようにダイナマイトを『お守り』として携えていた」という事実でした。そして、ラジオから聞こえてきたのはその黒瀬が自らの「お守り」――ダイナマイトを持ち、爆発事故で命を落としたというニュース。規格化された炭鉱の中でアイデンティティーを求めた両者の物語は、皮肉にも一人の命の消失とともに幕を閉じるのです。

まとめ

山川方夫の『お守り』は、団地という均一性を象徴する環境の中、人間が自らの存在をいかにして証明し、特別であろうとするのか。その葛藤が描かれた一作です。独自性を保つために選ばれた「ダイナマイト」という極端な象徴が、日常に潜む暴発の危険性や社会のひずみを暗示しています。この作品は、私たちの生活にも共通する「画一化された日常」というテーマを深く考えさせる名作です。現在の社会における自分らしさとは何か、自問するきっかけを与えてくれるでしょう。ぜひその全容に触れてみてください。

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※この記事は生成AIが作成しました。正確性を保証するものではありません。

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