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2万7500円の中敷きにビックリ!高額な中敷きと保険負担を考えた【認知症母との介護生活#18】

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更新日

ぱいなっぷりん

60代主婦の日常を、4コママンガとエッセイにしてブログで配信をしている、ぱいなっぷりんさん。その中から、「認知症母との介護生活」を順に紹介していきます。

▼「認知症母との介護生活」マンガ 1話から読む▼

>>想像の遥か上を行く発想をする母に、考えたことは?【認知症母との介護生活#1】

母の治療の一環で靴の中敷きをつくることになった

母の脚は
もともと O脚気味だった

私の股の間からは
ローマが見えるのよ~

母は かつて
この自虐ネタで
よく 笑いを取っていた

その脚が 最近

ローマどころか
欧州全体が見えるほどに
開いてきて

もはや
ネタにも ならなくなってきた

必然的に
股関節や膝に 痛みが出て

最近は 杖を使わないと
あまり 歩けない

ある日

母が通っている 整形外科で
外側が厚くなっている 靴の中敷きを
作ることを 提案された

それを 使うことで
足を 内側に矯正する力が 働き
症状の改善が 期待できる

その 中敷きを作る業者が
週1で 病院に
出張してきている
というので

予約を取ってもらって
母を 連れて行くことにした

ただ その時

中敷きの料金を聞いて
ケチな私は
ちょっと びっくりした

なんと!
27500円!

まあ でも なんたって
オーダーメイドだしね

足の形やサイズ 圧の分布が
瞬時にわかる 最新機器 とか

体圧を
機能的に分散したり 吸収したりする
最新素材が 使われているに違いない

その中敷きによって
使用前と使用後の歩行に
格段の違いが 出てきたとしたら

それは もう
プライスレスな価値があるし

しかも

あとから 自治体に申請すれば
保険の負担割合に応じて
お金が還付されるのだ

ありがたや ありがたや

日本の保険制度に しみじみ感謝し

期待に 胸膨らませていた
んだけど…

当日

白衣を着た 業者の男の人から
受け取った 名刺には

義肢装具士

と書いてあって

私は
以前 観た
その仕事を紹介していた
テレビ番組を 思い出していた

義肢装具士とは
事故や 病気などで
手足を失った人たちのために
最新の機器と 膨大なデータを
活用し

でも 最後は
経験から得た 繊細な感覚で
個々に合わせた 義肢をつくり上げる
仕事で

その番組に出ていた 装具士には
お客さんの
QOLだけでなく 人生まで変える
プロフェッショナルとしての 自負が
伺えた

では 脚の型を取りますね

名刺をくれた義肢装具士さんに
そう 言われ
私は
あたりを見回し
想像していた それらしい機器を
探した

…のだけど
彼が指差したのは

床に置いた
B4サイズ程の大きさの 紙

その上に 足を乗せるように
促されたのだった

そして
マンガに描いたように
ぐるり
と ペンで 母の足形を描いた

その人は
母の左側にしゃがんで 描いたので
手前である 足の左側の線は
けっこう 足ギリギリに 引いていたけど

右側の線は
明らかに 足から3~4センチ
離れていた

足先の カーブの形も

母は ギリシャ型なのに
紙に描かれた線は
どう見ても エジプト型に見える

日頃 ブログで
マンガを描いてるので
そういう線の 微妙なズレは
やたら 気になるのよね

あの…この線
足から 大分 離れてますけど

と 思わず 口走る私

すると 彼は

あ いいんです いいんです
そこはテキトーで

と 気にする様子もなく
その 落書きのような線が
書かれた紙を
フォルダーにしまった

結局

その後
その装具士さんは

かつて 私がテレビで観た
義肢装具士がしていたような

時間をかけて 問診することもなく

患者の 足の曲がり具合を
チェックすることもなく

歩き方の癖を 見ることもなく

母が 普段履いている靴のサイズを
聞いただけだった

一週間後

母と 私は
中敷きを受け取りに 病院へ行った

新しい中敷きの 外側は
厚く 作られていて

その点は 確かに
母のO脚改善に 良さそうだった

義肢装具士は
母の履いていた靴の
中敷きを 取り出し

新しいそれに 入れ替えて

歩いてみてください
かなり 歩きやすくなるはずですよ

と言った

その時 一瞬
古い中敷きと 新しい中敷きが
彼の手の中で 重なった

2つは
高さだけでなく
幅も 長さも 大分違った

日頃 ブログで
マンガを描いてるので
そういう カタチの違いには
結構 敏感なのよね

この中敷き
本当に この靴に合ってます?

遠慮がちにだけど
それでも 聞いてしまった

大丈夫 ちゃんと合っていますよ

笑顔で答える 彼

私は 違う質問をした

母の 他の靴にも
使えますか

う~ん それは 難しいですね
この靴に合わせてつくった
オーダーメードなのでねえ

そして
彼は言葉を続けた

だから 中には
複数 作る人も いるんですよ

中敷きの 保険の還付は
1年半経てば また受けられるので
1年半 我慢して
その後
1足分ずつ 増やしていってる方
けっこう いますよ

その日 私は

新しい中敷きを 試しながら
いつも以上に ゆっくり歩く母と
帰るみちみち

この商品の クオリティと
27500円 という値段について
考えた

少なくとも あの採寸の仕方から
オーダーメイドを標榜するのは
不当表示だ

もし 一般のお店だったら
このクオリティの商品を
この値段で買う人は いないだろう

もしかしたら
病院との間に 紹介料とかが
発生しているかもしれない

私は
認知症の母が 介護保険を使って
様々なサービスを
使わせてもらうようになった


日本の 保険制度を
心から ありがたい と思っている

今回の 中敷き代も
27500円の
自己負担分以外は
私たちみんなが
お金を稼いだり 遣ったりする度に
納めた 税金だ

この税金は
できるだけ 大切に使わなくては

労働人口が減っていく この先も
この制度を 維持して
後の世代の人たちも 使えるように

だから
心から 思った

この中敷きによって
膝や 股関節の痛みが 改善されて
母の歩行が 楽になりますように

27500円が
無駄金にならない為に

▼次回はこちら▼

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