「続・続・最後から二番目の恋」に50代女性が共感した理由。「山口百恵のようにマイクを置くあたりも見逃せない」最終話レビュー
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柚野木
小泉今日子×中井貴一の大ヒットシリーズ「続・続・最後から二番目の恋」。ついに最終回を迎えました。第11話「大人って、立派じゃなきゃダメですか?」のレビューをお届けします。
※ネタバレにご注意ください
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千明と和平は?期待しすぎず最終回を迎えよう!そもそも事件が解決して終わるドラマではないのだから「続続・最後から二番目の恋」10話大人が持っている魅力を、自然な会話のなかで教えてくれた
「若い人にはそんな素敵な言葉を紡げませんもんね」
これは千明(小泉今日子)が成瀬(三浦友和)との散歩中に言った言葉なのだが、これはこの作品の魅力を表しているキーワードでもあるなと思った。
大人になることで感じる寂しさやせつなさは数えきれないし、若い時に想像していなかった現実と向き合うつらさもある。でも、それだけじゃない。年齢を重ねていくことって案外おもしろいこともたくさんある。
大人が日常を生きていくなかで、ふと感じたことを親しい仲間と語り合っていることには「この歳まで生きてきたからこそ」の醍醐味がつまっている。
このドラマは、大人が持っている魅力を、ごく自然な会話のなかで教えてくれる。
最終回ではついに、律子(石田ひかり)と成瀬は、それぞれの「ほのかな恋心」に決別する時を迎えるのだが、その時、二人とも好きな相手に素直に「お友だちでいてくださいね」と言っている。こういうことをさらっと言えるのも、大人だからこそ、ではないだろうか。
もちろん、現実ではこんなにきれいな形で伝えるのは難しいだろうが、できれば、こんな素敵なことがあってほしい。近所に住んでいる者同士、何かの縁でつながった二人が、性別を超えていい関係を温めていけたら、そのほうがその先の人生はおもしろくなるだろうから。
そして大人たちのこれからのこと。さすがに最後の最後は、かけあしでエピソードが紹介されていくので、こちらの想像力をふくらませるしかないのだが、どれもわくわくするような未来を予感させるものばかりだった。セカンドライフって、そんなに堅苦しく考えないで、自由に、軽やかに行動していっていいのかも、と思わせてくれる。
とくに典子(飯島直子)と広行(浅野和之)が仲直りして、キッチンカーを一緒に始める話。行き当たりばったりの決断なような気もするが、そこは楽天的な二人のことだ。真平(坂口憲二)がカフェ・ナガクラとコラボレーションしようと言ってくれているし、周りのサポートを受けながらなんとかやっていける気がしてくる。ミズタニキッチンというロゴ入りのお揃いのトレーナーを着ている姿もほほえましい。