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「続・続・最後から二番目の恋」に50代女性が共感した理由。「山口百恵のようにマイクを置くあたりも見逃せない」最終話レビュー

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柚野木

山口百恵のようにマイクを置くあたり——!

千明は60歳で会社を卒業して(会社を去るときの様子がエンディングでちらっと挟み込まれているが、山口百恵のようにマイクを置くあたり、ここはもっとじっくり見たかった!)、そこから自宅を事務所にして、ドラマの制作会社を立ち上げる計画をすすめている。チーム吉野千明のメンバーが再び集まりそうなので、期待が膨らむ。ぜひとも渾身のドラマ企画を実現して、いずれ配信で、いろんな国の人に見てもらう一本を作ってほしい。

そして、啓子(森口博子)が心配していた、60になる単身女子が部屋を借りるのが難しいというシビアな話についても、いざとなったら、鎌倉で千明と一緒に暮らせばいい、といろんな選択肢があることを(最初のシーズンでの出来事をふりかえりながら)思い出させてくれる。

さらに、ひと世代若い万理子も軽やかに次の一歩を踏み出している。フリーの脚本家として活躍しながら、一般の人を相手にした「脚本教室」で先生として教えている。自分がこれまで千明にもらってきたものを恩返しするかのように、脚本の魅力を多くの人に伝えているのだ。

和平と言えば、ややこしい事情の末に、鎌倉市長選挙に出馬して落選し、副市長の座におさまるという、特別な経験をしたのだが、ここは一般人の想像の域を超える。ともかく「鎌倉のために困る」という充実した人生が続いているということは間違いない。

そしてラスト、ついに迎えた千明の還暦祝いの日。赤一色のモードっぽいスタイルで主役がさっそうと会場に現れ、赤い「ちゃんちゃんこ」もかっこよく着こなし、ケーキの60本のろうそくに力強く息を吹きかけて、「もっと生きまーす!」と宣言する。ここからが彼女の次のステージだ。

大盛り上がりしたパーティーが終わったあと、静寂のなかで千明と和平が二人がじっくりと語らい、ゆるやかな未来への約束をしてゆびきりげんまんをする。その日が訪れるのかどうか、未来の二人もどうか仲良くやっていってほしいと願うばかりだ。

そして映画なら「THE END」の文字が出るタイミングに「またいつの日か…鎌倉で」の文字で締めくくられるのだが、いくらなんでもこの一文に期待するのは気が早すぎる。

ここまでの物語をじっくりと思い返しながら、いまは、しばし幸せな気分の余韻に浸ることにしよう。そしてロスを感じたら、サウンドトラック(OST)を聴いて気分をあげていこう。

長らくの間お付き合いいただき、ありがとうございました。

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