禅僧・枡野俊明さん
再発がん治療中の気持ちの切り替え方…禅僧・枡野俊明さんに聞く、つらいからこそ気づける小さな喜びとは?
つらさの中だからこそ気づける小さな喜び
唐の時代の中国の禅僧・洞山和尚(とうざんおしょう)は、こんな言葉を残しています。
「暑いときには暑さになりきっておれ、寒いときには寒さになりきっておれ」
暑いからといって「暑い暑い、何でこんなに暑いんだ」と腹を立てても意味はない。暑さを拒むのではなく、十分に暑さを感じながら、暑さと調和していくのがいい、という意味です。
病気も同じかもしれません。「何で私が」と嘆くよりも、まずは病気を受け入れてみませんか。そうすれば、つらい治療の日々の中にも、小さな楽しさを発見できることもあるでしょう。
禅には「苦中、楽あり。楽中、苦あり」という言葉があります。どんなに苦しいときにも、必ず楽しいことがあるはずだから、それを精いっぱい楽しみ、味わっていくといい……そんな思いが込められた言葉です。
たとえば少し体調のいいときに、近くの公園を歩いてみましょう。日差しは強くても、木々は濃い緑になって木陰をつくり、そこに立つと涼しい風が通り抜けるかもしれません。その一瞬の心地よさ、楽しさを味わってください。これは暑い季節にしか得られない感覚です。そしてもしかしたら、病気になったからこそ気づける楽しさかもしれません。
苦中楽楽中苦 —— くちゅうらくあり らくちゅうくあり
苦しさの中にも楽しさはあるもの。
病も苦しさも大切にしながら
今、このときを味わいましょう
