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禅僧・枡野俊明さん

再発がん治療中の気持ちの切り替え方…禅僧・枡野俊明さんに聞く、つらいからこそ気づける小さな喜びとは?

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ゆうゆう編集部

二度目のがんの治療をしています——という相談が寄せられました。逃れられない病気にかかってしまった場合、どのように気持ちを切り替えればいいでしょう。禅僧・枡野俊明さんのお考えを聞きました。

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門を開けば

「開門福寿多(門を開けば福寿多し)」
自ら門を開くことで福を招き入れようという禅の言葉です。

今回は2年前に治療した乳がんが再発したという「がんの再発」のご相談です。
枡野さんのアドバイスは?

<今月のテーマ>
「がんが再発しました」

現在、二度目のがんの治療をしています(2年前に治療した乳がんが再発したのです)。再発したのは、自分のこれまでの生き方や考え方が影響しているのかと思うと、悲しくなります。同年代の友達は、人生を謳歌しているのに、なぜ自分だけ……。どうしたらこんな自分を支えることができるでしょうか。

「がんと仲よくやるよ」そう言って生きた人

がんが再発して、二度目の治療中とのこと。つらいお気持ち、お察しいたします。

相談文を読んだところ、「がんになった原因は自分の生き方や考え方が影響している」と思い込んでいらっしゃると感じました。もしこれが風邪やインフルエンザであれば「寒い中、出かけたから」「〇〇さんからうつったんだろう」などと推測できます。しかし、がんは違います。生活習慣に起因することもありますが、原因が特定できない場合も多いものです。ご自分を責める必要などありません。

医学の専門家ではない私が言うべきではないかもしれませんが、さまざまな人生を見てきて思うことがあります。それは、自分を責めたり、運命を呪ったりすればするほど、心も体もつらくなっていくということです。病気を嫌えば嫌うほど、病気に追いつめられてしまうように感じるのです。

私の知り合いの禅僧で、70代でがんが見つかった方がいました。手術はせず、抗がん剤の治療を選択しました。さぞかし心身ともにつらいことだろうと思ったのですが、本人はあっけらかんと「しょうがないよ、がんと仲よくやっていくしかない」と笑うのです。「がんは、自分の体の中に生まれて育ったものだから、自分の一部。仲よくできると思うよ」と。言葉どおり、治療中も変わらずに坐禅をくみ、修行僧を指導し、講演活動や執筆を続けました。そして90代まで生き、老衰で亡くなったのです。

がんは消えなくても、薬でなだめながら、最後まで「仲よく」生き抜いたと言えるでしょう。逃げるのでも倒すのでもなく、仲よくやってみるのも一つの方法かもしれません。

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