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60歳を迎えた【高島礼子さん】「キャスティングしていただけるのなら何でもやろうと思いました」人生を輝かせる方法とは?

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ゆうゆう編集部

新たな挑戦をする暮らしを始めたら若返ったような気がするんです

一人で積極的に電車やバスにも乗り始めた。最初はICカードで改札を抜けるだけでもドギマギしたが、今では地下鉄の乗り継ぎはスムーズにできるようになり、バスも便利に感じてよく使っている。この頃に始めたインスタグラムには、充実の日々がアップされている。

「そういう暮らし方を始めたら、若返った気がするんです。ウォーキングも本腰を入れて取り組んで、1年かけて体を絞ったんです。短期間でやせると必ずリバウンドするので、焦らず地道に。今では1日1万歩も楽勝ですが、『必ずやらなくてはいけない』という縛りはやめています。長い目で見て、継続することが大事だと思うので」

実際高島さん、以前より体が引き締まり、肌もツヤツヤ美しく輝いている。食べたいものを我慢するのではなく、心置きなく食べたいものを食べ、運動して代謝を上げ、生き生きとダイエットに成功したのだ。

「胃がんで亡くなった母が、『食べられるうちに食べなさい』と言っていたんです。父も食べることが生きがいだったのに、最後は食べられなくなってしまった。だから、この『食べられるうちに食べよ』というのは両親の遺言なんです」

「あなたはまだこれから50を迎えるんでしょう?」

そんな高島さん、この夏も舞台に映画にと出演作が続く。ひとつは大阪・新歌舞伎座での1カ月にわたる舞台、演出家・石井ふく子さんの白寿を記念した公演『かたき同志』だ。藤山直美さんとのダブル主演である。

「石井先生には、私が50歳になる頃『女たちの忠臣蔵』の座長として呼んでいただいて、その後も『春日局』『おんなの家』とご一緒させていただきました。今も現場では座られないんですよ。だから私たちが『疲れた』なんて到底言えない。最初にお目にかかったとき『私もう50なので』と言ったら、『あなた今何回〝もう〟って言った? まだ〝これから〟50を迎えるんでしょう』と言われて背筋が伸びました。いつも『年は取る(取り去る)もの』とおっしゃっているので、見習って、私なりのこの『お鶴』という役を一所懸命務めたいですね」

もうひとつの出演作は映画『ハオト』だ。今年は戦後80周年だが、戦時中の精神病院を舞台に「何が正しかったのか」を改めて問いかける物語。高島さんは看護婦長を演じている。

「亡くなられた奈良岡朋子さんが、よく映画会社の偉い方に『戦争を美化する作品を作るな』とおっしゃっていたんですけど、戦争映画ってヒーローを立てがちですよね。その意味では、これはヒーローが出てこず、暗い気持ちにもなりすぎずに観られる作品。ぜひ、知っていただけたらと思います」

仕事も充実、私生活では、数年前からゴルフを始めて、今腕を上げたいと取り組んでいる。

「これからは、自分の趣味みたいなものをもちつつ、仕事にもひもづけて、さらにいい芝居ができるようにしていきたい。樹木希林さんや野際陽子さんみたいに、ギリギリまで仕事をして死んでいきたいんです。頑固にならず、取り入れるべきは取り入れて、もっと仕事してもっと遊んでいきたいと思います」

INFORMATION  舞台『かたき同士』

演出家・石井ふく子さん白寿記念公演は、盟友・橋田壽賀子さん作の人情ものがたり。川をはさんで暮らすひさご亭と越後屋。庶民的な飲み屋、ひさご亭の女将かめ(藤山直美)は、蘭学塾に通い医者を目指す一人息子が自慢だ。しかし、息子は飲み屋を継ぐと言いだす。一方、呉服問屋、越後屋のお鶴(高島礼子)は一人娘の縁談を進めようとして、娘が清太郎に思いを寄せていることを知る。互いにわが子を思うかめとお鶴は真っ向からのけんかになって……。

8月30日(土)~9月21日(日) 会場/大阪・新歌舞伎座 
作/橋田壽賀子 
演出/石井ふく子 
出演/藤山直美、高島礼子、熊谷真実、木戸邑弥、込山榛香、金子 昇

大阪・新歌舞伎座 かたき同士

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撮影/玉置典子(t.cube) 
スタイリング/松田綾子(オフィス・ドゥーエ) 
ヘア&メイク/佐々木大輔 
取材・文/志賀佳織

※この記事は「ゆうゆう」2025年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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