兄弟愛と名曲に心震える映画『ファンファーレ!ふたつの音』【LiLiCo's試写室】
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LiLiCo
TBS「王様のブランチ」の映画コーナーを担当し、映画コメンテーターとしても人気を集めるLiLiCoさんが、おすすめ映画を紹介していきます。今回は『ファンファーレ!ふたつの音』です。
最高の二人の出会いに泣き笑い!フランスで260万人を動員した感動作
秋になると芸術に触れたくなりますね。そんな今月は、素敵な音楽と兄弟の絆を描いた映画はいかがでしょう。
今回の主人公は世界的に有名な指揮者のティボ。彼はある日、白血病と診断されます。骨ずいドナーを探すも見つからず、さらには自分が養子であることを知り、「もしかしたらドナーとして適合するかも」と、生き別れになった弟を訪ねます。見つけた弟ジミーはティボとは正反対の性格で、町の小さなオーケストラでトロンボーンを吹くのが唯一の楽しみという生活。演奏が乱れればみんながお互いのせいにするような、決してうまいとはいえないオーケストラなんだけど、そこがまた観ていて面白いの。ジミーのおかげで元気になったティボは、ジミーのオーケストラがコンクールに出場すると聞いて応援することを決めます。その決意が二人、楽団、町の人々を思わぬ方向に動かしていって……。
自由で奔放、でもちょっとスネやすく、兄がいる事実をなかなか受け入れられない弟。ジミーには絶対音感があると、すぐに弟の才能に気づく兄。実の兄弟だけれど、ずっと離れて暮らしていたこともあり、会話をしてもなかなかかみ合わない。でも、「音楽」を通して二人は絆を深めていきます。特にレコードを聴いて盛り上がるシーンが大好き!
この作品で感じたのは、たとえ仲のいい兄弟であっても、大人になると深い話をする機会が減るなということ。いくつになっても仲よく、会話できる家族って本当に素敵。私はこの作品をきっかけに弟とよく話すようになりました。
家族愛が一つのテーマですが、私はティボがジミーの才能を引き出し、成長していくシーンが大好き。ジミー同様、自分に自信がなく、やりたいことがあるのに年齢を気にしたり、人の目を気にしたりする人って多いよね。でも自分で自分を止めるなんてもったいない! お節介は誰かを救い、たったひと言で頑張る力が湧く! ティボとジミーの絆は二人をどう成長させるのでしょうか? 名曲もたっぷり楽しめ、おおいに笑って泣ける感動作、ぜひご覧ください。
『ファンファーレ!ふたつの音』
監督・脚本/エマニュエル・クールコル
共同脚本/イレーヌ・ミュスカリ
出演/バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・ロタン、サラ・スコ 他
9月19日より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町 他 全国公開
(フランス 配給/松竹)
© Thibault Grabherr
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