ルッキズムを描く異色ドラマ!セバスチャン・スタン主演の『顔を捨てた男』【LiLiCo's 試写室】
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LiLiCo
TBS「王様のブランチ」の映画コーナーを担当し、映画コメンテーターとしても人気を集めるLiLiCoさんが、おすすめ映画を紹介していきます。今回は『顔を捨てた男』です。
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新たに連載をさせていただくことになり、今、心が躍ってます!
映画には人生や考え方をも変えてくれるパワーがある。同世代として、いろいろ考えさせられる作品をお届けしますね。
第1回は『顔を捨てた男』。主役のセバスチャン・スタンはマーベル作品でウィンター・ソルジャーを、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』ではトランプを演じました。以前から注目されている俳優ですが、毎回あまりにもルックスが違うので同じ人と認識されてないのかも(笑)。
この映画はルッキズムがひとつのテーマです。スタンが演じるのは顔に極端な変形があり、明るい未来を想像できず自分の殻に閉じこもって生活している、役者志望のエドワード。隣に住む劇作家のイングリッドと出会い、何かが変わる予感がし始めたとき、顔を治す「奇跡の治療」に出合います。
新しい顔を手に入れ、別人として順風満帆な人生を歩みだしたエドワードは、イングリッドが自分の人生を描く演劇を作ったことを知り、そのオーディションを受けます。でも、イングリッドは彼に気づかないの!
主人公の気持ちが痛いほど理解できるエドワードは役を獲得します。顔を変え、なりたい自分になってすべて順調のはずが、過去の自分とよく似たオズワルドが現れ、想像もつかない方向へ……。
このオズワルドがとっても魅力的なので、見終わった後は自分のことがもっと好きになるはず。ブラックユーモアを交えた今作に人々は共感、米国では4館から265館に拡大したというのも納得。
誰だってベストな自分でいたい。「あの頃の自分がよかった」とか、「私なんて」「この年齢だから」を言い訳にして、自分で自分を止めてしまうのはもったいない!
年齢を重ねるのはみんな平等。長い人生、トラウマを抱えてついふさぎ込んでしまう人もいると思います。私ももちろん、コンプレックスや直したいところがある。それでも今日も目覚めたこと、生きていることが大事ってことに気づかせてくれる。人生に乾杯!と言いたくなる映画です。
『顔を捨てた男』
監督・脚本/アーロン・シンバーグ
出演/セバスチャン・スタン レナーテ・レインスヴェ、アダム・ピアソン 他
7月11日よりヒューマントラストシネマ有楽町他 全国公開(アメリカ 配給/ハピネットファントム・スタジオ)
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※この記事は「ゆうゆう」2025年8月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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