【南果歩さん】友達に「ごめん、私60過ぎてるよ」と告白。孤独とうまくつき合う方法とは?
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志賀佳織
昨年還暦を迎え、これまでにも増して精力的に、世界を舞台に活躍中の南果歩さん。新作映画では、異文化との出合いで変わっていく女性をいきいきと好演しています。私生活では30年ぶりの一人暮らしを開始。同世代女性へのメッセージを贈ってくれました。
プロフィール
南果歩さん
みなみ・かほ⚫1964年兵庫県生まれ。
84年、映画『伽倻子のために』で主演デビュー。
89年『夢見通りの人々』で第32回ブルーリボン賞助演女優賞受賞。
2015年映画『MASTERLESS』で全米デビューを果たす。
Apple TVのドラマ「PACHINKO パチンコ」他、世界を舞台に活躍中。
外国の友達から言われた。「37、38歳でしょう?」
昨年のインタビューで、子育てが終わり、離婚も経験したことで、自身を中心とした時間割が組めるようになったと晴れやかに話してくれた南果歩さん。この5月に、二世帯住宅で同居していた息子さん夫妻がニューヨークに移住し、いよいよ30年ぶりに一人暮らしを始めることになったという。
「24時間を自分の時間として生きられるようになったので、その意味ではとっても自由なんですけど、でもやっぱり自由と孤独はワンセットですからね、必ずそこに孤独はついてきます。人間は誰しも一人で生まれて一人で死んでいく。孤独を上手に友達にしていくしかないですよね。私はそれが少し得意かも。よく『楽しそう』『幸せそう』と言っていただけるのは、だからなのかもしれないですね」
とは言っても、母・娘・孫娘と3代にわたる愛犬を飼っていて、本当の一人暮らしとは違うかもしれないが、賑やかで楽しい。毎朝、新聞を2紙読み、気になる記事を切り取るのも日課だ。
「スクラップするわけじゃないんですよ。気になったら切り取って、後でまた読んでみる。自分の知らない世界を知るのがとても好きなんですね。勉強熱心とかではなくて、ただ単に好奇心が旺盛なんでしょうね」
5月、息子さん夫妻の引っ越しを手伝いがてら訪れたニューヨークでは、図書館で行われている無料の英語クラスがあり、月曜から金曜までの週5日、毎日2時間の授業に通ったという。授業後には、芝居を観たり美術館に行ったり、友人と会ったりと、充実した日々を過ごした。
「その英語のクラスで友達になったポーランド人のアネタという女性がね、最後の日に『それで果歩はいくつなの?』って聞くんですよ。アネタ自身は40歳だと言うので、『何歳に見える?』と聞いてみたんです。そうしたら『私よりちょっと下だと思うから、37、38歳?』って言うので『ごめん、私60過ぎてるよ』と告白したら、目を見開いていました(笑)。こちらがびっくりしちゃって」
いやいや、今の南さんのツヤツヤした肌やはじけるような笑顔を見ていたら、アネタの気持ちがわかるというもの。内側から湧いてくる好奇心やときめきが、常に人生を目いっぱい楽しもうとする前向きな気持ちが、南さんを輝かせているのだろう。
その軽快なフットワークは仕事面でも、新たな境地を切り開いている。2021年にオーディションでメインキャストに選ばれたApple TVのドラマ「PACHINKO パチンコ」をはじめ、フィリピン映画界の巨匠、ブリランテ・メンドーサ監督作の『義足のボクサー GENSAN PUNCH』など、世界の作品への出演が続いているのだ。
「何かゴールを決めて、目標をそこに置いて動いているわけではないんです。今、自分の関心が向いているもの、自分が面白いと思うものを優先していった結果、そういう方向に行っているのかなって思っています」
