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94歳の認知症の母が夢中になるスクラッチアートとは? 介護する側のストレス発散にも

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ゆうゆう編集部

介護をされる側も、する側も、ストレスのたまる認知症介護。体験した先輩たちは、どのように大変だった時期を乗り切り、どのように息抜きや気持ちの切り替えをしていたのでしょうか? 今回は、94歳の認知症の母を介護する「ゆうゆう」読者・大谷こずえさん(67歳・埼玉県)の体験談をご紹介します。

好きなこと・得意なことで介護される側もする側も穏やかに

パステルシャインアートとスクラッチアートで笑顔に

実家の母(94歳)が認知症と診断されて10年になります。

私はずっとアートに関わる仕事をしてきたのですが、私が母にすすめたさまざまなアートが認知症にいい効果をもたらしているように思います。

たとえば、網を使ってハードパステルを削り、コットンでのばして描く「パステルシャインアート」。私自身、母とのままならない生活にストレスをためていたとき、これのセラピーアートコースを受講し、描き終えると気持ちがすっきりしていました。その後母にもすすめ、「パステル描こうか?」「描こう、描こう」が合言葉に。描いているときは集中し、描き終えると笑顔になるんです。

4年前、母に胃がんが見つかり胃の全摘手術をすることに。ところが母は入院したものの、いつもと違う空気を感じ取ってか「家に帰る」の一点張りで、手術はいったん中止に。無理して苦しい思いをさせなくてもいいのではとも思いましたが、「このまま点滴で日々を送るのもお互いつらいよ」という医師の言葉で、もう一度手術に臨むことに。ですが再トライの入院日、再び母は強硬に入院を拒否。窮状を救ってくれたのが「スクラッチアート」でした。

これは付属の木の棒で黒いシートを削っていくと下から色が現れて絵になるというもの。削り方によって色の現れ方に変化を出せます。診察の待合室で、手術を待つ病室や手術後の時間も、母はスクラッチアートをやりました。集中する楽しい時間が母の救いだったと思います。看護師さんにほめてもらい喜んでいました。認知症の人にとって認められることは、とても大切なことだと感じています。

笑顔を取り戻すきっかけはパステルシャインアート

ハートの作品を描いている母。「何の色にしようか、どこに描こうか」と描いているときは集中。そして描き終えると笑顔になります。

スクラッチアートで入院、手術を乗り切りました

母が仕上げたスクラッチアートの数々。対象物の形に合わせて削っていくのが母の性に合っていたようで、心の安定につながりました。

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