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94歳の認知症の母が夢中になるスクラッチアートとは? 介護する側のストレス発散にも

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ゆうゆう編集部

認知症で、胃を切除した人の食生活の工夫について

認知症で、胃を切除した人の食事には気を使います。本人は胃がないことを忘れているので、家族と同じ料理でないと虐げられていると誤解してしまいます。食卓には母が食べられるものだけを並べ、母は食べられないけれど私たちは食べたい焼き餃子などの料理はキッチンに置いておき、隠れて食べたりしました。母がデイサービスに行っている間に、おすしを買ってきて食べちゃったことも。お正月のお雑煮は、母の分だけお餅の代わりにはんぺんを使ってみたら、これが大成功でした。でも、人間ってすごい! 術後3年もたつと、大抵のものは食べられるようになりました。

家族旅行にも行けました

胃がんの手術後も、母と一緒に新潟や京都を旅しました。夫がネットで検索して、食事に不安のある人向けのレストランや旅館を探してくれたのです。

アートが好きな母と娘。介護する側も楽しめること

アートコンダクターという進行係と一緒に、20分ほど1枚の絵と向き合い語り合う絵画鑑賞、「アートリップ」をご存じですか。これは認知症当事者と家族を対象にした対話型鑑賞プログラムです。ここでもときどき母が素敵なことを言い、驚かされます。私も語り合ううち家族の思い出などがよみがえり、「そういうときもあったね」とやさしい気持ちになれました。

介護のストレスは、どこかで吐露していかないと自分を支えられなくなります。私にはオンラインで絵を描く同世代の友人がいるのですが、いつも最初にその日のテーマを決め、愚痴ともつかない近況報告をし合っています。そうすると絵を描いているうちに自分自身の気持ちが整って、もやもやが排出されていく。そうした時間が、介護する側にも大切だと感じています。

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撮影/奥 陽子  取材・文/子安啓美

※この記事は「ゆうゆう」2025年10月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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