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作家・角田光代さん「20代からひとり旅をしてきました」50代になって久々に出かけた旅先は?

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ゆうゆう編集部

20代からひとり旅で世界各地を回ってきた作家の角田光代さん。一昨年、コロナ禍後20年ぶりに気ままなひとり旅に出かけたといいます。角田さんの今の旅スタイルとは?

お話を伺ったのは
角田光代さん・作家

かくた・みつよ●1967年神奈川県生まれ。
90年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。2005年『対岸の彼女』で直木賞受賞。他の著書でも数々の文学賞を受賞。
『八日目の蟬』『紙の月』は映画化され話題に。
15年からは5年をかけて『源氏物語』の現代語訳に取り組み、21年読売文学賞受賞。
近著に『方舟を燃やす』『韓国ドラマ沼にハマってみたら』他、著書多数。
30代後半からマラソンを始め、国内外の大会に参加している。

日常から完全に離れて自由気ままにめぐる

コロナ禍をはさみ、世の中の旅の仕方が激変

これまでに40カ国以上を旅してきた角田光代さん。ひとり旅で世界のあちこちを歩き、見て、食べて、土地の人と出会い、ふれ合う旅を続けてきた。

旅が趣味、という角田さんだが、30代後半からは仕事が忙しく(1カ月に30近い締め切りを抱えていた!)、ひとりでゆっくり気ままに旅をする時間がとれなかったという。

2024年、作家生活34年目を迎えた角田さんは「働き方改革」を決意。これからは依頼された仕事ではなく、自分が書きたい小説だけを書いていく、と決断したのだ。そして、ひとり旅の時間も手に入れた。

「20年ぶりに、1週間ほどのお休みがとれるようになり、一昨年はクロアチアに、昨年はウズベキスタンに行ってきました」

久しぶりの旅で角田さんが実感したのは、それまでとはすっかり旅の仕方が変わってしまった、ということ。

「旅先でみんなスマホを使っていて。オンラインで何もかも解決できる、便利で安心な旅の形になっていたんです。スマホ頼りでない自分は時代遅れの旅をしているっていうことに打ちのめされました」

多くの人がスマホの地図やナビを使い、おすすめレストランもスマホで検索。

「道に迷ったり、困ったりする機会が激減して、旅先で人としゃべらない。私も変化についていかなければと思いつつも、寂しいなって。迷って途方に暮れながら、土地の人に聞き、助けてもらったり親切にされたりするのが旅だと思ってきたので」

これまでのひとり旅で角田さんは、見知らぬ土地で見知らぬ人にビールをおごってもらったり、バス停が見つからず困っていると連れていってくれるだけでなく、バスに一緒に乗ってくれる人に出会ったり。予期せぬ幸せな出会いに満ち満ちた旅を続けてきた。そんな出会いが少なくなってしまう、という寂しさを感じたという。

作家・角田光代さん「20代からひとり旅をしてきました」50代になって久々に出かけた旅先は?(画像3)

1992年、初めてひとりで、タイ、マレーシアを1カ月半かけて旅した。「旅行中、その地に暮らす多くの人が手を差し伸べてくれました」。マレーシアのランカウイ島にて。

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