作家・角田光代さん「20代からひとり旅をしてきました」50代になって久々に出かけた旅先は?
便利なネットだけど慣れずに失敗も
とはいえ、クロアチアの旅では新しい旅の仕方も取り入れた。インターネットの総合旅行サイトで宿を予約して出かけたのだ。
「宿の口コミを見始めると止まらなくて。水が出ない、とか一つでもマイナスレビューがあると、ここはやめようとなり、決めるまで大変でした。行ってみると予約したドゥブロヴニクの宿は街の中心地からバスで20分くらいかかる所! 毎日、バスに20分も乗るのはイヤなのでキャンセルしようとしたら、キャンセルもオンラインでと言われて。でも、なかなかオンラインでのキャンセルができない。あぁもう、いい!となって、仕方なくそこに泊まりました」
次のウズベキスタン旅行では、宿は予約しなかった。
「サマルカンドは、飛び込みで泊まったホテルがすごくいいホテルで。やっぱり、できるならネットを見ずに予約したいなと思いましたね」
便利だとすすめられたタクシーアプリもうまく使えず、以前と同じようにバスと電車を乗り継ぐ旅になった。
「どこまでオンラインを利用するのか、どこまでこれまでの旅で自分が培ってきたものを生かすのか、という自分との闘いです。ウズベキスタンの旅で、少し闘い方がわかってきた気がします」
すべて新しくするのではなく、これまでのやり方も残していこうと思ったという。
「ウズベキスタンは人が親切で、物価も安く、大好きな羊料理も存分に味わいました。イスラム圏なんですが、文化が独特でまぜこぜ感が面白いんです。サマルカンドでは宿の近くにあった遺跡群、シャーヒ・ズィンダ廟群が素晴らしかった。何げなく入ったら、美しすぎて腰が抜けそうになりました。そんな経験、初めて」
シャーヒ・ズィンダ廟群は、観光客も多く、ゆっくり見られなかったため、角田さんは、翌朝一番で再訪。
