韓国映画ファン必見!『夏の終わりのクラシック』、ユン・ソクホ監督の最新感動作【LiLiCo's試写室】
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LiLiCo
TBS「王様のブランチ」の映画コーナーを担当し、映画コメンテーターとしても人気を集めるLiLiCoさんが、おすすめ映画を紹介していきます。今回は『夏の終わりのクラシック』です。
海辺の街で偶然出会った訳ありの男女。繊細な映像が映し出す最後の恋の物語
読者世代には数年前の韓流ドラマ&映画にどっぷりハマった方も多いのでは? 24年前に大ヒットした『猟奇的な彼女』で泣いて笑ったあなた。さまざまな人生経験を重ねて、きっと今は若者の恋愛より、明るくてお節介な大人女子の恋愛に共感しますよね。私がそうなので(笑)。そんなあなたにぴったりの韓国映画が、『夏の終わりのクラシック』です。
母の遺品を片づけるために済州(チェジュ)島を訪れたジュヌは、夏の終わりに毎年この島に来るヨンヒに出会います。ジュヌのお母さんの家に残されていた大量のクラシックのレコードに感動したヨンヒは、片づけを手伝う代わりにクラシックについて教えてもらう約束をします。母のことで心を閉ざしたジュヌは髪や髭も伸びっぱなしで言葉も少なめ、誰とも関わりたくないの。でもヨンヒはお節介でよく喋るし、何にでも興味をもつし、人との縁を大切にし、そしてよく動く! ジュヌはそんなヨンヒのペースに巻き込まれ、次第に心を開いていきます。ですが、実はヨンヒも辛い体験をしていて……。
トラウマを抱えたとき、その乗り越え方も人それぞれ。落ち込んだままの人、辛いことを忘れたくてあえて明るく振る舞う人。あなたはどっちかな? お節介は人を救うというけれど、残念ながら時代とともに声をかけることも少なくなりつつある。この映画であらためてそのことを考えました。
この映画には何となくヨーロッパの空気を感じるんです。済州島の街並み、美しい器や野菜にも魅了されます。特に惹かれたのはジュヌのお母さんの家の窓。美しい風景や夕日を映し出すだけでなく、携帯の画面のように文字をのせるなど、カッコよくて斬新! 日本中に「冬ソナ」ブームを巻き起こし、“映像詩人”とも呼ばれるユン・ソクホ監督ならではの映像美。登場人物の心を表すこの窓は、終盤に向けてハッピースイッチをオンにしてくれます。
数々のクラシックの名曲と美しい風景の中、痛みを抱えた二人が人生最後の恋をする。人生の再生物語からこの秋は元気をもらいましょう!
『夏の終わりのクラシック』
監督・脚本/ユン・ソクホ
原作/伊吹有喜『風待ちのひと』
出演/キム・ジヨン、ペ・スビン 他
10月3日よりシネ・リーブル池袋 他 全国順次公開
(韓国 配給/日活・KDDI )
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