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【人間国宝・坂東玉三郎】作者が感じた「これは人間じゃない」その第一印象とは?

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ゆうゆう編集部

敬愛する人物の生き様の片鱗を今の時代に刻んでおきたい

歌舞伎の家の生まれではないシンイチが、何をきっかけに歌舞伎界に入り、どう修業を積んでいったのか。第一部では無邪気に歌舞伎の世界を楽しんでいたシンイチが、「坂東玉三郎」として生き続ける覚悟を決めるまでが描かれる。シンイチの一途な思いが伝わってきて切ない。

第二部は一文字の言葉をめぐる対話から、より思考を広げ、掘り下げていく内容だ。お題の一文字は「醜・演・闇・妖・海・情・粋・伝・花・風・老・桜・夕・食・美」。それぞれに、玉三郎さんの哲学・美学のみならず、現代社会への深い思い、憂いなどがちりばめられ、その魂に触れる思いがする。

「フリーライター時代から、あれだけの天才が、稽古を積んで精進し、自分の中でダメ出ししながら、さらに高みを求めていく姿を近くで見てきました。悩みや苦しみがありながらも、自分の信じる哲学・美学をもっているからこそ、こうやって生き抜いてきたのだなぁと……。彼が舞台でやっていることを、私は本の世界でやっていかなければ、と思います」

PROFILE
真山 仁さん

まやま・じん●1962年大阪府生まれ。
同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年経済小説『ハゲタカ』でデビュー。
『売国』『当確師』『ロッキード』『アラート』など著書多数。
坂東玉三郎演出による舞台『星列車で行こう』の脚本も手がける。

玉三郎の「風を得て」

真山 仁著 文藝春秋

表現者である真山さんと玉三郎さんの「魂同士の会話」から生まれた珠玉の一冊。タイトルの「風を得て」は、玉三郎さんが大事にしている世阿弥の『風姿花伝』から。

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※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/田﨑佳子

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