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スティーブ・ジョブズも実践!「今日が人生最後でも…」の暮らし方【禅僧・枡野俊明さん】

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ゆうゆう編集部

「健康寿命って、あと10年くらいなのかもしれない」——ふと気づいた66歳の女性。今できることは何だろうと迷うようになった方からの相談です。今後の生き方のお手本について、禅僧・枡野俊明先生に伺いました。

門を開けば

「開門福寿多(門を開けば福寿多し)」
自ら門を開くことで福を招き入れようという禅の言葉です。

今回は、健康寿命があと10年ほどだと気づいて生き方について考え始めた方からの相談です。さて、枡野さんの答えは。

<今月のテーマ>
「これからの生き方について迷っています」

現在66歳。いつまでも若い気持ちで、これまで死を考えることはありませんでした。しかし健康寿命もあと10年ほどと考えると、今できることは何だろう?と思うようになりました。今後の生き方のお手本があればお聞きしたいです。

平均寿命になるまで元気だとは限りません

2024年の日本人の平均寿命は、女性は87歳、男性が81歳です。現在66歳の女性であれば、20年以上の寿命があると言ってもいいでしょう。しかし現実には、その20年間をこれまで同様に過ごせるわけではありません。「寿命」の前に「健康寿命」が尽きることが多いからです。

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく、自立して健康に生きられる期間」を言います。女性の平均健康寿命は75歳、男性は72歳です。平均寿命との差は10年前後。体や頭が思うように動かない状態での長生きになる可能性が少なくない、ということです。

個人差はもちろんあります。100歳になるまでお元気で、ある日突然ぽっくりと亡くなる人もいるでしょう。けれどそれは自分でコントロールできることではありません。

禅の言葉に「昨日少年、今日白頭」というものがあります。「自分はずっと少年のままでいるような気持ちだったのに、ふと気づいたら白髪頭になっていた」――つまり、それほど時間は早く過ぎてしまい、自分だけがなかなか気づけないものだということです。

「まだまだ時間はある」というのは勝手な思い込みにすぎません。時は私たちを待ってはくれず、1日1日、波が岸に打ち寄せるように老いを積み重ねていきます。それは変えられません。けれど多くの人はそれを意識しないまま日々を過ごしてしまいます。気づくのは病気で余命を宣告されたときなどでしょう。そのとき初めて、「人生には限りがある」と実感するのです。でもその段階では、残される時間はあまり多くはありません。

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