意外と知らない【介護施設の費用と減免制度】。施設を選ぶ際に「月々の金額」だけで決めてはダメな理由とは?
介護施設の利用料って、実際のところどれくらいかかるのでしょう。もちろん施設によって違いますが、「月々の金額」だけを見て決めるのは少し危険といわれています。では、何を基準に考えると安心なのでしょう。話題の新刊『親の介護で知りたいことが全部のってる本』から、一部抜粋してお届けします。
※施設の利用料は千差万別なので、あくまでも目安です。
介護施設の利用料はどのくらいかかるの?
トータルで納得できる金額かを判断
介護施設の利用には、大きく分けて「初期費用」と「月額利用料」がかかります。
初期費用は、入居時に一度だけ支払う費用で、部屋の利用権や設備の整備費、前払いの居住費などが含まれます。数十万円程度の施設もあれば、民間の高級施設では数百万~数千万円のことも。一方、公的施設の特別養護老人ホームや介護老人保健施設では初期費用が不要なことが多く、利用しやすいのが特徴。
月額利用料は、入居後に毎月支払う基本的な利用料で、居住費・食費・管理費・介護サービス費などが含まれます。介護保険が適用される場合は、自己負担分(1~3割)が加わります。医療費やおむつ代、理美容サービス、レクリエーション費など、日常生活でかかる実費が別途必要になることも。
施設を選ぶ際は「月々いくらで暮らせるか」だけでなく、「どこまでが利用料に含まれているのか」「追加料金はどんなときに発生するのか」を具体的に確認することが大切です。
初期費用が高い施設では月額が抑えられるケースもあるため、トータルで見て納得できる金額かをしっかり検討しましょう。また、土地代や人件費が高い地域では特に初期費用が高くなる傾向もあり、遠方の施設を利用する人も増えています。
●有料老人ホームは、入居後3か月以内に解約した場合、短期解約特例として前払い金の一定額返還が義務づけられています。
利用料は初期費用と月額利用料に分かれる
公的施設では低所得者への減免制度も
公的な介護施設( 特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)を、所得が少ない人でも利用しやすいように、特定入所介護サービス費(※1)という「減免制度」が設けられています。収入や資産の状況に応じて、居住費や食費の自己負担額が軽減される仕組みです。
申請には市区町村が発行する「介護保険負担限度額認定証」などが必要になるので、窓口で相談してみましょう。
※1 特定入所者介護サービス費
介護保険施設に入居、またはショートステイで利用する人のうち、所得の低い人を対象に、施設の利用にかかる居住費と食費を軽減するために支給される公的補助です。市区町村の窓口で「介護保険負担限度額認定証」の申請をして交付を受けることで補助を受けることができます。
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医師
たたら・ひろかず●医師。東京・板橋区にある医療法人社団つくしんぼ会で理事長を務め、「 患者の生活の質( QOL )を高め、生活を回復させること」を目的に、外来診療から訪問医療・介護・在宅看取りまで一貫して手がける。患者の意思に実現可能な形で寄り添い、薬物治療に依存しないのが信条。地域の医療機関として、サービス担当者を対象にした公開講座も定期的に開催。『 身近な人に介護が必要になったときの手続きのすべて』『 身近な人の介護で心がいきづまったら読む本 』( 共同監修 )、『 身近な人が脳梗塞・脳出血になったときの介護と対策 』( すべて自由国民社 )など、介護・在宅医療に関する監修書多数。
たたら・ひろかず●医師。東京・板橋区にある医療法人社団つくしんぼ会で理事長を務め、「 患者の生活の質( QOL )を高め、生活を回復させること」を目的に、外来診療から訪問医療・介護・在宅看取りまで一貫して手がける。患者の意思に実現可能な形で寄り添い、薬物治療に依存しないのが信条。地域の医療機関として、サービス担当者を対象にした公開講座も定期的に開催。『 身近な人に介護が必要になったときの手続きのすべて』『 身近な人の介護で心がいきづまったら読む本 』( 共同監修 )、『 身近な人が脳梗塞・脳出血になったときの介護と対策 』( すべて自由国民社 )など、介護・在宅医療に関する監修書多数。
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