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87歳の介護未満の父に毎月15万円の出費【ジェーン・スーさん・50歳】自身の”おひとりさま”の老後にも言及

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ゆうゆう編集部

離れてひとり暮らしをする87歳の父親の生活を、別居しつつサポートするジェーン・スーさん。あえて同居を選ばない家族の距離感とは? 父親を支える秘訣とは? そしておひとりさまとしてのご自身の自立についても伺いました。

▼前編はこちら▼

>>【ジェーン・スーさん】できないことが増えていく87歳の父と、あえて同居しない理由とは?

Profile
ジェーン・スーさん コラムニスト、ラジオパーソナリティ

じぇーん・すー●1973年東京生まれ。
TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」のMCを務める。
著書に『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮文庫)、『へこたれてなんかいられない』(中央公論新社)など。

父はミック・ジャガー、私は招聘元

とはいえ家事代行サービスを頼んでも担当者と気が合わなかったり、冷凍食品を送っても食べてもらえなかったり。プロジェクトはトライ&エラーの繰り返しだ。頻繁に顔を突き合わせているとけんかになるし、相手が寂しいときに放っておけばすねてしまう。ほどよい距離感も徐々に学んだ。

「父のことはミック・ジャガーだと思っています。海外一流アーティストならわがままも当たり前。招聘元である私は、今日のステージがうまくいけばそれでよし、です。それでもイライラしたら、他人の親だと思い込む。そうするとうまく距離が取れるんです」

お互いが対峙するのではなく、隣同士で介護に顔を向けるというスタンス

そんな中でも、80歳を超えてLINEの操作を覚え、毎日の食事を写真で送ってくれるなど、父の協力に感謝もしている。

「介護は、する側とされる側、真正面から向き合ってしまいがちですが、実は隣同士に並んで理想の方向に進んでいくものなんじゃないかと思うんです。このプロジェクトには、父の当事者意識が欠かせません。そのことは父にも伝え、協力してもらっています」

元々、スーさんが小さい頃から家族の中でも個人の境界線がしっかり引かれた家だったという。父と娘、お互いに精神的に依存しないことでプロジェクトはうまく回っている。

ひとつだけ、本当はもっと早く、親が元気なうちからプロジェクトをスタートするべきだったと振り返る。

「どんな保険に入っているかなど、郵便物から少しずつ把握するしかなく、まるで探偵のようでした(笑)。よく、子どもには迷惑をかけたくないからと何も相談しない人がいますが、残念ながらそれは無理。体調を崩せばどうしたって子どもに迷惑はかかるのだから、元気なうちにエンディングノートなどで情報を共有して、プロジェクトの準備をしたほうがいいと思いますよ」

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