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茶道が一気に身近に!抹茶ブームの今「chabako」(茶箱)で楽しむスマート茶会 潜入ルポ

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ゆうゆうtime編集部

茶道の静寂にこめられた深い意味を知り驚愕。日本が誇る茶の湯の文化がすごすぎた

今回は人数限定の、ごく小ぢんまりとした茶会。生徒さんたちを前に石川さんが茶道の精神について語り始める。
「茶道では、一服のお茶を介して人と人が和やかに、お互いを敬いながら、清らかで何事にも動じない心を通わせます。『和敬清寂』はその精神を表した言葉で、茶室には必ずこうした禅語の掛け軸がかけられています。抹茶を点ててもてなすことで、和やかに交流することを大切にしているのです。今は何事も効率重視の時代でタイパなどがもてはやされますが、私たちは必要な無駄まで省いてしまっているかもしれませんね」。

お茶席では、「お作法を間違えない」ことで頭がいっぱいになり、他の人に気を回す余裕はなくなりがちだが、茶の湯の本来の目的は人とのコミュニケーションにあるのだ、と改めて気づかされる。

会場には床の間がないので、掛け軸の代わりに『和敬清寂』と書かれた色紙がテーブル上に立てられていた。ときどき目にする言葉だが、その意味を初めて知った。「人と人が精神の深いところで融和することが大事だと利休さんは考えていて、そのための手段としてお茶があるのだ」と自分なりに解釈できた。

色紙の隣には椿が飾られていた。
「今日のお花は白玉椿。茶道では掛け軸と共に床の間に花を生けます。野にひっそり咲いているような心和む花を用います」。

花も客への思いやりであって、決して場を華美に演出するためのものではない。ちなみに椿を生けた花瓶は唐津焼のとっくりで、本来の用途ではない使い方で新たな価値を付与する「見立て」は日本人が昔から得意としてきた遊びなのだそう。

茶道はとてもハートフルでピースフルなものだと知り、日本が誇る奥深い伝統文化に今更ながら感動する。

そして次は、お茶のいただき方について。「茶道は基本的に無言のコミュニケーションです。お茶のいただき方にもそれが現れていて、亭主は茶碗のいちばんいいところ(正面)をお客様に向けて出します。

目の前にお茶碗が来たら隣の人との間に置き、「お先に」と声をかけてから自分の前に戻し、「お点前ちょうだいいたします」と茶碗を左手に乗せて感謝。お茶碗を右回りに2回回して正面を避けます。これは、私はあなたを敬って正面には口をつけません、と伝えるためです。

飲み終わるときにズズッと音を立てて吸いきりますが、それもおいしかったことを伝えるコミュニケーションの一つです。お茶碗の飲み口を指で清めたら、脇に置いておいたお菓子が乗っていた懐紙で指をぬぐいます。そして今度はお茶碗を左に二回回して、正面が自分に戻るようにします」。

シーンとしたお茶席の雰囲気は、落ち着かずにソワソワしてしまうものだが、あの静けさは実は無言の思いやりが行きかう時間と空間だったのだ。奥深すぎる。

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