【ばけばけ】大告白を見届ける羽目に…錦織(吉沢亮)の“所在なさ”にクスッ。引きの映像が光る名シーン
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。『怪談』でおなじみ小泉八雲と、その妻 小泉節子をモデルとする物語。「ばけばけ」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください
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>>【ばけばけ】行間大爆発!屈指の名場面に震える前半折り返し。あまりにも精錬で美しい、見事な気持ちの通じ合い王道ラブストーリーのような雰囲気すら漂う
それぞれが抱えてきた想いを整理したことで、ようやく心を通わせることができたヘブンとトキ。日本に伝承される怪談をもとにした作品を発表したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)とその妻・セツをモデルとしたNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の放送も新たな年を迎え再開、第14週「カゾク、ナル、イイデスカ?」が放送された。
昨年最後の放送回ラストで、トキ(髙石あかり)とヘブン(トミー・バストウ)が宍道湖のほとりで言葉もなく手をつなぐというなんともロマンチックな演出でその心の通いを伝え、いよいよ物語は〝二人〟が本格的にそのつないだ手を離さず歩いていくこととなる。
その宍道湖のシーンをはじめとして、ラブストーリーとしての要素が実に美しく、そしてきわめてプラトニックに描かれてきているが、気持ちは通じ合ったものの、そこから進んでいくにはさまざまな壁があるところがまた、ある意味「王道ラブストーリー」のような雰囲気すら漂う。
ヘブンが日本、松江にやってきた理由、それは「日本滞在記」の執筆である。それが達成されることはすなわちヘブンの帰国を意味する。ようやくその気持ちに気づいたところでありながら、離れ離れになってしまうという定めはどうにも歯痒くもどかしい。ヘブンは、「ダイジ、ハナシ」として、日本滞在期の完成に対しての感謝をトキと錦織(吉沢亮)に伝える。しかし、完成の報告=帰国の報告とはすぐならず、ヘブンはなんともせつなげに一言、漏らした。
「イテモ、イイデスカ?」
そしてこう続けた。
「マツエ、イル、イタイ」
相変わらずのたどたどしい日本語に拍車もかかり、ヘブンの熱い本心が伝わってくる。
その気持ちを受け取ったトキは、喜びと涙を噛み締めたような笑顔で、「なして?」
と、とどめの言葉を聞こうとする。これもまた、素敵な恋愛演出である。ヘブンはこう返した。
「トナリ、ズット、トナリ……」
言葉なく手をつなぎ、そして、わずかな単語の羅列のようなもので溢れる想いを届ける。わかり合っていれば、余計な言葉はいらない。片言での大告白である。そこに、
「トナリ、イカイ……イサセラレ……」
と、最後の最後で言葉がぐだぐだになってお互い吹き出してしまう姿もまた、仲睦まじさ全開であり、見ている側の「照れ」をジャストなタイミングで笑いに変えてくれ、このドラマの笑いの入れ加減、押し引きの絶妙が凝縮されているようであった。
ここで、映像は引きとなり、この大告白をそこで見届ける形になった錦織の所在なげそうな、少し気まずそうな、それでいて、グッときて涙ぐんだりする様子が映し出され、ここもまた、二人のスイートな空気に見入っていたところから思わず笑ってしまうといううまさを感じる。
さて、晴れて「両想い」になり出雲大社で神様に永遠の愛を誓った二人であるが、二人がその先に進むにあたり、前述した通り大きな壁がさまざまある。
