記事ランキング マンガ 連載・特集

幼馴染のサワ(円井わん)との埋まらぬ溝は?錦織(吉沢亮)の昇進話は?【ばけばけ】が描く人間ドラマ

公開日

更新日

田幸和歌子

サワの心の棘がさらに深く刺さっていく

史実をもとにしたストーリーではあるが、語りをつとめる蛇と蛙(阿佐ヶ谷姉妹)が第2週予告で「貧乏脱出お見合い大作戦!」と言うなど、いつか脱したい場であるとされてきた。この物語は、そこに現れたヘブンと出会うことで、それこそ一家ごと脱出に成功するというシンデレラストーリー的な側面ももつ。つまり、トキはヘブンという王子様に見染められた成功者である。

そこには同じ「川の向こう」の住人としての友情や連帯感も存在していたはずではある。しかし、幼馴染のサワ(円井わん)は、ハッキリとした埋まらぬ溝を感じていたことが前週から描かれてきた。

前週、結婚したヘブンとトキの新居を訪れたサワが、玄関に飾られた立派な花を見て自分が持ってきた花を思わず脇に投げ捨ててしまったり、その新生活の豊かさにどこかいたたまれなくなり早々に帰ってしまうというなんとも切ない場面があったことが、サワたちにとってトキが「あっち側」、自分たちには手の届かない別世界の住人になってしまったことをはっきり示された。

幼馴染のサワ(円井わん)との埋まらぬ溝は?錦織(吉沢亮)の昇進話は?【ばけばけ】が描く人間ドラマ(画像5)

「ばけばけ」第78回より(C)NHK

今週はその「溝」のようなもの、ある種の「格差」によるやるせなさがよりクッキリと、時の人となったヘブン夫妻という、表面上は笑ってしまうようなコミカルなブームの描かれ方と同時に浮き彫りにされることで強く迫ってきた。

サワだって、そして遊女のなみ(さとうほなみ)だって、本当はいつか橋をわたることを夢見ている。非正規の教員であるサワが、正規の教員となり、自立することを必死に目指しているのは当然だが、どこかその壁の高さも実感する日々だ。いっぽうなみはといえば、身請けの話が舞い込むものの、そのチャンスを「怖くなった」といい、
「一緒にずっと傷を舐め合って生きていこう」

なみはサワにそう提案するが、サワはそこに乗ろうとはしない。

幼馴染のサワ(円井わん)との埋まらぬ溝は?錦織(吉沢亮)の昇進話は?【ばけばけ】が描く人間ドラマ(画像6)

「ばけばけ」第78回より(C)NHK

サワやなみと同じ側にいたはずだが、もともとどこか「天然」なところのあるトキは、そのあたりの気持ちを汲み取ることができない。決して悪気のないふるまいが、無邪気にサワを傷つけてしまっていることにも気づかないところが、サワの心に棘を刺す。

誰が悪いわけでもないかもしれない。トキの運がよかっただけなのかもしれない。それはサワにも十分わかっているはずだが、溝はどんどん深まり、サワの心の棘がさらに深く刺さっていく。浮かれたヘブトキフィーバーとの対比がそれを強烈に浮かび上がらせてくる演出には身震いしてしまいそうだ。

いっぽう、錦織には新たに校長への昇進の話が持ち出され、その行方、そしてそれぞれの登場人物との関係性もこれからどうなるのか、「ばけばけ」の人間ドラマとしての側面に注目していきたいところだ。

幼馴染のサワ(円井わん)との埋まらぬ溝は?錦織(吉沢亮)の昇進話は?【ばけばけ】が描く人間ドラマ(画像7)

「ばけばけ」第79回より(C)NHK

▼あわせて読みたい▼

>>【ばけばけ】大告白を見届ける羽目に…錦織(吉沢亮)の“所在なさ”にクスッ。引きの映像が光る名シーン >>【ばけばけ】行間大爆発!屈指の名場面に震える前半折り返し。あまりにも精錬で美しい、見事な気持ちの通じ合い >>【ばけばけ】ほほえましさとじれったさ。少しずつ心の距離が近づき、あとは互いに抱える気持ちが何であるかを気づくだけ!
画面トップへ移動