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顔面麻痺の症状に苦しみ「もう表に出られないかも」と悩んだ日々。病を経て思った「大事にすべきこと」【寺島しのぶさんのターニングポイント#2】

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志賀佳織

俳優として結果を出す一方、私生活では妻となり母にもなった寺島しのぶさん。子どもをもったことで、それまで知らなかった世界にもいろいろ触れることができたという寺島さんに、お子さんへの思い、これから目指すことなどを聞きました。

母となったことで出会えた未知の世界

仕事の上ではいくつかの大きなターニングポイントを迎え、そのたびに大きな飛躍を遂げた寺島しのぶさん。私生活では、07年にフランス人のアートディレクター、ローラン・グナシアさんと結婚し、12年に長男の眞秀(まほろ)くんを出産したことがとても大きなターニングポイントになったという。

「だって、眞秀がいなければ、知らないで死んでしまうこともいっぱいありますからね。彼のせいで(笑)謝らなきゃいけないこともあるし、すごくお金もかかるし(笑)、でも、彼のおかげで身につくこともあるし、得るものは大きいと思います」

眞秀くんは現在中学1年生。17年「團菊祭五月大歌舞伎」の『魚屋宗五郎』にて、酒屋丁稚の与吉役を本名・寺嶋眞秀で初お目見得。23年「團菊祭五月大歌舞伎」の『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)』にて、新設された歌舞伎の名跡・尾上眞秀を名乗って初舞台を踏み、歌舞伎役者としてのキャリアをスタートさせた。

寺島さんも、母として、眞秀くんの舞台やお稽古につき添わなくてはいけない場面も増えた。自身の仕事も大変なところへ、母としての役目も大きくなってきている。

「いやもう本当に、体が二つほしいなと思っています」

眞秀くん自身の生活も、成長とともに忙しくなってきているから大変だ。

「お芝居が好きでいいねと言っていただけるのはありがたいんですけど、やっぱり中学生になると、勉強も大変になってきて、中間テスト、期末テストと追われる合間に宿題もあって、もうずっと勉強させられている感じなんですよ。これぞ義務教育なんだなとは思いますけど、かといって勉強だけっていうのもなんだか違う気がして」

眞秀くんの活躍は歌舞伎だけに留まらない。23年のNHK大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康の幼少期を演じたり、昨年11月公開の映画『港のひかり』では、盲目の少年を演じて高い評価を得たりと、映像の世界でも活躍中だ。また昨年12月から今年1月にかけて行われたKバレエ・オプトの最新作『踊る。遠野物語』にも出演。Kバレエのトップダンサーたちや麿赤兒(まろあかじ)さんとの共演を果たした。

「勉強も頑張れ。表現することもやりたいんだったら、両方頑張れ。で、部活もやりたいって言ってるから、じゃあ部活も頑張れ。とにかく体は一個しかないから、やりたいんだったら頑張るしかないよねって話をしていますね」

しかし、そう言うお母さん自身が、ギリギリ頑張っている姿を見ているだけに、その言葉には説得力がありそうだ。眞秀くんも、そんなお母さんを誇らしく思っているのではないだろうか。

「どうでしょうねぇ。でもこの間、歌舞伎に出演したときは観に来てくれて、その後、優しかったし(笑)。わかってくれているのかもしれないですね。そういうのを見ていると、私が仕事を辞めて、彼のサポートだけをするというのはあり得ないんだろうなとは思います。彼は、私が表で立っていることが好き。見るのが好きだし、そういう私だから助言を聞いてくれるというのもある気がしますね。彼の台詞を覚えたり、振りつけを覚えたりして、同じ立場で動いてみて、『ああ、なるほどね。これは確かに大変だね』などと言いつつ、一緒に考えたりもするので、それは私にとっても豊かな学びの時間になります。頭ごなしに言っても聞かないところを、『やっぱりこれ難しいわ。眞秀、よくやってるね』と言ったりすると、嬉しそうにするので、それは大事なことだなと思います」

眞秀くん、将来は歌舞伎俳優になりたいそうだが、他にもまだいろいろ夢があるようだ。

「今はダンスも楽しくやっているし、映画も楽しんで取り組んでいるし、だから決めなくていいんだろうと思うんです。以前、(坂東)玉三郎さんのお部屋に眞秀と行ったときに、『眞秀はアーティストだろう?』と言ってくださったんです。それをずっと眞秀はお守りのような言葉として持っていて、以来、アーティストという自覚を持っているみたいですね。今、眞秀のまわりには、玉三郎のお兄さんにしても、うちの父にしても、そういう言葉をかけてくださる方がいるので、それを今のうちに心に留めておいてほしいと思います」

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