朝ドラ【ばけばけ】吉沢亮演じる錦織の魅力!物語最大のキーパーソンに迫る。「もし彼がいなければ…」
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田幸和歌子
錦織こそこの物語最大のキーパーソンで
ヘブンとトキを心配して、そんな松野家を訪れたのは、錦織(吉沢亮)だ。時に頼りなさそうな扱いを受けたりするものの、ヘブンの来日時からずっと世話をし続け、見守ってきた存在である。
「ホントウノトモダチ」
ヘブンがそう言って感謝したのも本心からのものだろう。
日本、松江でヘブンが時には「ジゴク、ジゴク」と毒づきながらも定住し、『日本滞在記』を完成させ、トキと所帯を構えるまでに至ったのは錦織がいたから。そこは異論を挟む余地はないだろう。錦織がいなければトキと結婚することもなく、早々に出国し、もしかしたら『日本滞在記』も完成していなかったかもしれない。錦織こそこの物語最大のキーパーソンであるはずだ。
錦織ばかりではない。「私のせい?」と泣きながらやってきたサワ(円井わん)や、なみ(さとうほなみ)、庄田(濱正悟)、そしてヘブンの教え子たち……つぎつぎと松野家をおとずれ、心配して守ってくれる。「何も起こらない」ことを積み重ねてきた物語の中で、作り上げてきたものがしっかりある。ヘブンとトキは良くも悪くもゴシップに振り回される世間と違い、ふたりを真に愛する人たちがちゃんといること、その「思い」の尊さが確認できる展開だ。
そんな〝ラシャメン〟報道からの加熱ぶりは、一気に収束してしまう。それは、松野知事(佐野史郎)の食い逃げが報じられ、一気に世間の耳目がそこに移ってしまったためだ(これもまた、単なる払い忘れではあるわけだが)。いずれにせよ、マスコミの影響力、ゴシップへの風当たり、それに振り回され、加熱し冷めていく世間の無責任、その恐ろしさ、馬鹿馬鹿しさが突きつけられるような出来事であった。
報道によって苦しむトキにそっと寄り添うヘブンもまた、自身が異人であるだけでアゲられたりサゲられたりする経験を重ねてきたことでトキの気持ちを理解する描写は、これまでの丁寧な人物像の構築が感じられる描写だ。騒動が落ち着き、異人と一緒になったせいだと謝るヘブンの真摯な姿勢には胸を打たれる。そして、それを否定し、二度とそういうことで謝らないでほしいと言うトキ。ヘブンとトキは、心の底から通じ合う夫婦になれていることがあらためて確認できるやりとりである。
そんななか、ついに『日本滞在記』が出版され、好調な売れ行きをみせる。これによってまだまだ書いてほしいという流れも生まれ、『怪談』への期待値も高まる。いっぽうでまた、ヘブンが〝スバラシ〟と愛する松江を離れる時がいつか訪れそうな空気も漂いはじめる。
「何も起こらない」物語に次々起こり、訪れる何か。平穏無事ばかりでないそれぞれの登場人物の人生は、まだまだ何度も大きく展開しそうである。
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