70代の自慢話は「テクニック」がいる。林真理子さんがすすめる“オチのある”話し方とは
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林真理子
「80代になるとたいていボケるか死ぬ」——思わず二度見してしまうようなタイトルの本が、いま話題です。著者は、作家の林真理子さん。刺激的な言葉の裏側にあるのは、70代をどう生きるかという、実に現実的な思いです。『80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間』(幻冬舎刊)から抜粋して、林さんの本音をご紹介します。第3回は、気をつけたい「笑えない自慢話」。
笑えない自慢話をしてはいけない
時々、有名人と食事をしたりして、一緒に写真を撮る。私は必ずこう言う。
「私はSNSとかしていない。ただ友だちに自慢したいだけなの。だからこの写真、人に送っていい?」
こう言うとたいていの人は笑って許してくれる。
自慢話で許されるのは、有名人や芸能人に会った、ということであろう。無邪気に写真が送られてきて、皆で「いいネ」とか「羨ましい」と言い合うことができる。
が、このあいだグループLINEにハワイの写真が送られてきて少々ムッとした。皆で、
「この円安時代、どこにも行けないよねー」
と話していたばかりなのである。しかし彼女は頭のいい人なので、
「格安チケットが手に入った」からと強調したので、皆は胸をなだめた。かように自慢話をするにはテクニックが必要だ。ましてや70代にもなれば、かなり格差が生じてくる。センシティブになるのはあたり前だろう。
70歳になると、もはや現役を退く人が多い。若い頃は同級生が集まると、自分が勤めている企業の話になり、かなり差が付けられたと思った。やがて夫の自慢となり、子どもの自慢になる。それを聞くのがイヤで、しばらく同級生から遠ざかっていた。それが十年くらい前、昔のクラスメイトと会ったら、もはや自慢話は消えて、親の介護がテーマになった。わかるわかると、皆で慰め合い、いわば不幸共和制、すっかりうちとけた。
そしてまた十年たち、親も亡くなり、聞くのは自分の病気の話ばかり。そこで浮上してきたのが孫の自慢話。どこそこの大学に入っただの、留学しているだの、まことに聞きづらい。
自慢話は聞いて楽しく、オチのあるものにしてほしい。どんなオチかというと、ものすごく高いお店に入ったのだが、結局は食べきれず土産にしてもらおうとしたが断られたとか、夫婦で高級温泉旅館に行ったのはいいが、クーポンを使ったせいかサービスが悪かった、とか、ほんの小さなウソや、あるいは誇張が必要である。
また70代はじめは微妙な時期で、役員待遇でまだ働いてる人もいることはいる。こういう人は自慢話は絶対にしない方がいい。まわりが「すごい、すごい」と言うのを、笑って聞いているのが無難だろう。
女性の美容自慢。どこそこのクリニックへ行っている、こういうクリームを使っている、という情報も取りようによってはイヤ味に聞こえるのがむずかしいところ。
ちょっと危ないかなーと感じた時は、
「自慢っぽく聞こえてナンだけど」
とあらかじめ言っておくのがいいかもしれない。
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80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間
林真理子著
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